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2015年3月18日 (水)

ヴィヴァルディ「メッセニアの神託」:女の園を乱す者

150318
音楽監督・指揮:ファビオ・ビオンディ
演奏:エウローパ・ガランテ
演出:弥勒忠史
会場:神奈川県立音楽堂
2015年2月28日・3月1日

同じ会場で企画されたバロック・オペラのシリーズは、やはりヴィヴァルディの『バヤゼット』が最初だった。演奏も同じくビオンディ&エウローパ・ガランテである。あれから9年も経ったとは信じられず。そういや、ビオンディの髪も白っぽくなってましたなあ。

今回のオペラもやはりパスティッチョというヤツで、他の作曲家の作品を元にヴィヴァルディ自身の曲も挿入しているらしい。歳取ってさすがに人気が下り坂の彼は、これで再起を図るべくウィーンで上演しようとするが果たせず客死してしまった、という因縁つきの作品だ。

物語の舞台は古代ギリシャの国。10年前に先王を殺した反逆者が現在も支配中。王子は他国へ逃走、結婚迫られた妃は宙ぶらりん状態。そこへ王子が密かに帰国し、人質やら大臣やらが絡んでくるという、この時代の歌劇にはよくありそうなる設定である。
プレトークでのビオンディの話によると当時は5時間ぐらいかけて上演し、聴衆は現在のように集中して耳を傾けたりはしなかったそうな。

基本的には歌手はアリアを一曲披露しては引っ込むという形式で、個々の歌手の技能を楽しむのが中心。その点では、さすがに歌手の皆さんはもちろん一部の隙もなく役割をこなしていた。
特に、初日終了後に大評判となってネットが沸騰していたユリア・レージネヴァは、なるほど超絶技巧とはこの事かい(!o!)ってなぐらい。歌い終わると拍手喝采ブラボーの嵐typhoonとなるのであった。
反逆者役のマグヌス・スタンブランは嬉々として悪役を演じているようだった。

プロダクションとしては何回もこなしているということで、エウローパ・ガランテの面々も、安定感充分の演奏だった。ビオンディは弾き振りで指揮していたが、ノってくるとヴァイオリンの弓を振り回していたのには笑ってしまった。

ステージは能の舞台を意識した構造になっていて、衣装や小道具もすべて和風である。
日本刀や扇を使い、歌舞伎風の所作も出てくる。これまで演奏会形式でしかやったことがなく、しかも準備日数が2日しかなかったというのが信じられないほどにキマっていた。

歌唱など技術面については、私はトーシロなので述べるのは控えて、演出面のことを書いておきたい。
歌手で男性なのは反逆者ポリフォンテだけで、他は皆女性(メゾ)ソプラノが演じている。女性6人のうち女役は2人であとは男役だ。
だが、ポリフォンテのM・スタンブランは上背があるだけでなく衣装もやたらと大きく広がって面積を広く占有しているので、彼以外は「女子ども」にしか見えない。レージネヴァ演じる大臣は忍者みたいな衣装に日本刀を差していたので、ネットで「ちびっこ忍者」と呼ばれていたほどだ。

さらにポリフォンテは男役女役関わらず他の人物に対し、顔をすり寄せたり頭をなでたり自分と対等な他者にはやらないような行為をするので余計にその印象が強まる。
特に手下として使ったアナッサンドロに対してはまるで恋人のように抱きしめたりするのだ。この関係は……あ、穴ッサンドロ?(@_@;)
元々はこの役は男声カウンターテナーが演じるはずだったのが、逃走降板したのだった。チラシの写真を見ると男っぽい容貌で、この二人が絡んだら、なんというか……「●ぶ」の世界ではないかdanger

ラストはポリフォンテは処刑、アナッサンドロが追放されるが、これはまるで「女の園」から男が全員放逐されたかのようである。2人とも男性が演じていたらもっとその感が強まっただろう。
「男」が一人もいなくなってメデタシメデタシという話なのか。
演奏、歌唱、舞台装置などどれも文句ないものだったが、ただ演出の意図だけがもやもやと宙を漂っているようだった。


会場は数年ぶりに行ったが、女子トイレがウナギの寝床のように奥まで広くなっていたのはヨカッタ\(^o^)/ それでも長い行列ができてたけど。
ただ、いかんともし難いのが座席の恐るべき小ささng チビの私でさえ一杯なのだから、大柄な人には窮屈過ぎだろう。私の隣の人は足が入りきらず斜めに座っていた。
この日は雨で、楽器の調律は大変だったろう。以前もここでバロック・オペラを聞いた時にも雨rainだったような……。時期的なもんですかね。


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