「何を怖れる」
フェミニズムを生きた女たち
編者:松井久子
岩波書店2015年
同名のドキュメンタリー映画のインタビューを活字化したもの。リブ創始期からフェミニズムの現在まで生きてきた12人の女性に話を聞いている。映画の方は都内で2週間ほど限定公開されたが、早朝のみだったので結局見に行けず(+o+)トホホ
フェミニズムというと鉄板のように皆が一つに固まって結束していると思い込んでいる人もいようが、実際にはそうではないことがこの本を読めば分かるだろう。
ここに登場する12人は各々独自の道を歩んできた。12人いれば12通りのフェミニズムが存在するのだった。
学生運動に疑問を抱き移ってきた人、グループの代表者もいれば裏方に徹する者もあり、学問から入って研究の道を続けた人もいれば政治や行政に関わる場合もある。障害者や慰安婦問題など近接分野から加わった人もいる。
冒頭の田中美津の語りははやはり強烈、かつ面白いね~。
読んでて驚いたのは米津知子という人。自らの脚に障害があり、1974年に上野でモナリザ展が開催された折に車椅子やベビーカーの人の観覧を排除したことに抗議して、「モナリザ」に向けてスプレーインクを噴射したというのである
予めガラスケースで保護されているのを承知でやった抗議活動なのだが、こんなことをした人がいたとはこれまで全く知らなかった。
などなど、人に歴史ありフェミニズムにも歴史あり、な事がよく分かる本だった。
彼女らが喋っている姿も拝見したいもんだが……もう映画はご近所での上映はしばらくないだろうな
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