「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」:絵画に裏も表もなく
ワイズマンのドキュメンタリーというと、過去に『パリ・オペラ座のすべて』を見たが、こちらはさらに20分長い181分である。といっても、彼の作品としては長くない方だろうか。
オペラ座同様、英国が誇る大美術館の裏側を見せてくれるのかと思いきやそうでもなくて、やや期待外れだった。
裏方の仕事は痛んだ絵の修復と額縁製作(職人芸!)ぐらい。予算折衝やマラソン大会との連携企画などを話し合う会議の場面なども出てくるが、ほとんどが美術館の表の活動が中心である。
多くを占めるのは職員(学芸員だけでなくアーティストもいる?)による作品解説。小学生コースから講座形式まで、様々な形で登場する。
最初に登場する中年女性の話が一番面白かった。薄暗い教会で掲げられた大きな宗教画がどのように当時の人に見えたか、など話術の巧みさと語る内容の双方が大事な要素であるとよ~く分かりましたよ。
その他、素描のワークショップや、日本ではあまり見かけない作品模写する人なども出てくるが、いかんせん長い(;一_一) 終わった後に「長かった~」と叫んでいた客がいたほどだ。
これでは映画見るより、海を渡って直接美術館に見に行った方がいいかなという印象で、ドキュメンタリーならではというものはあまり見られなかった。
ところで、古楽ファンにはおなじみウィリアム・クリスティの名前が出てきたのにビックリ。ヴァトーの絵画に楽譜が描かれているものがあって、それを見てもらったというのである。
表度:7点
裏度:4点
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