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2015年6月13日 (土)

「親密な語らい」:揺れにも負けず放送にも負けず

150613
フルートとリュートによるフレンチバロック
演奏:前田りり子、佐野健二
会場:近江楽堂
2015年5月30日

バロック・フルートとリュート……よくよく考えるとこの二つだけの組み合わせのコンサートというのは珍しい。というか、聞いた記憶がない。
前田りり子によると、よくあるチェンバロとの共演だと、音の大きさで負けてしまうという。また、ガンバだと低音だからあまり大きく聞こえないが、実際はかなりなものだとか。

そこでリュートの登場ですよ(^O^)b よく「聞こえない」と文句を言われることではお仲間ということらしい。
これはそんな小さな音量の楽器同士でしかできないプログラムである。17世紀後半から18世紀にかけてフランスで活躍した作曲家たちを中心としている。

冒頭のピエール・ゴーティエはお二人ともてっきりリュート曲で知られるゴーティエの親戚かと思ってたら、全然関係ない人でマルセイユのオペラ作曲家兼オルガン奏者とのこと。彼の組曲でまず耳慣らしだ。

それからモンテクレールの「第2コンセールハ短調」はチェンバロとの組み合わせだと、演奏後に「よくなかった」と言われてしまう曲だそうだ。
チェンバロの両手分をリュートだと片手でやらなければならないから大変。途中でリュートどうやって弾いているんだ\(◎o◎)/!みたいな部分もあり、思わず真剣に聞き入ってしまうのであった。さらに佐野氏の指もじーっと注視したりしてeye

休憩を挟んだ後の、オトテールの組曲となるとりり子女史の笛の音はもはや嫋々という形容がピッタリなほどであった。艶のある、しかしそーっと消え入っていく音が、近江楽堂のドームに反響していく。

佐野健二のリュートを生で聞いたのは実はこの日が初めてである。以前から聞きたいと思っていたのだが、なぜか東京近辺では公演がなく(結界でも張ってあった?)これまでは無念さをかみしめていたのだが、晴れてナマで聞けてウレシイfull
飄々とした関西弁の解説も相まってか、ナマでは録音よりも攻めの演奏に聞こえた。
で後半、彼がド・ヴィゼーのリュート曲を独奏していた時にハプニングは起こった。

地震impactである。
一度揺れたのがいったん収まりかけたのが、また大きくなってかなりの震度になった。客はキョロキョロと周囲を見回す(>y<;) しかし、佐野氏は揺れる会場と動揺する聴衆もなんのその、淡々と弾き続けていたのであった\(◎o◎)/! だが、揺れが収まらず遂にオペラシティ全体の緊急放送が入るに至って、ようやくその手を止めたのである。

それは……コンサートの主題であった小さな音が放送という大きな音に負けた瞬間でもあった(T_T)
ま、仕方ないよね。地震なんだもん。

もっとも、今思い返してみると地震の最中にじっとしていたのが良かったかどうかは怪しい。建物が耐震構造になっていても、天井に下がっている照明の付いた巨大な輪っかが落下する可能性もあったからだ。
せめて、近江楽堂の椅子にもれなく置いてある白い低反発座布団を頭に乗せて頭部を守るべきだったろうかsweat01

一旦おさまったのでまたリュート独奏から再開された。しかし、次のプログラム最後のドルネルの組曲の途中で、エレベーターの休止や交通の状況を知らせる放送が再び入って、さすがにりり子女史はあきらめて中断、のち再開ということになってしまった。アンコールを二曲やったが、もはや聴く方も気もそぞろという状態だっのは仕方ないだろう。
地震が起こるまでに、プログラムの意図はちゃんと理解できたし「小さな音」も楽しめましたよ(^o^)/


帰りの交通は京王線が走っていたのに、新宿に着いたらJRがほとんど全部止まっていたのにはビックリdash 待っていても仕方ないので、改札をまた出て地下鉄に行ったらちゃんと動いていた。それで帰ったのである。

後で、六本木の森ビルのエスカレーターが停止して、さらに誘導が全くなかった--という報道を聞いたが、それを考えるとオペラシティ(ビルとしては五十数階ある)の方はちゃんと普段から防災体制ができているようだったなあ、と後から考えなおしたのであった。


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