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2015年8月31日 (月)

「アリスのままで」:ボケは来ても心は錦--だといいなあ

150830
監督:リチャード・グラツァー、ワッシュ・ウェストモアランド
出演:ジュリアン・ムーア
米国2014年

『ブルージャスミン』のケイト・ブランシェットと同様、アカデミー賞の主演女優賞当確と言われて、実際受賞したのがこの映画におけるジュリアン・ムーアである。
で、こちらも彼女の名人芸的な演技を堪能するのが鑑賞の中心となる。

若年性アルツハイマーであることが判明したヒロインは、50歳で発病して急速に症状が進む。大学での教職も続けることができなくなり、辞めることになる。
半分の確率で子供にも遺伝するし、しかも因子が遺伝したら発祥確実というハードな病気なのだ。
家族の中に困惑が広がる。特に夫は50歳代ったらまだまだ働き盛りな時だ。一方、それまで不仲だった末の娘とは距離が縮まる。

特徴的なのは、病気の描写を外からでなく、ヒロインの内面から捉えていることだろう。だから、仕事や対人関係の大失敗などはあまり大きく描かれない。ほとんどは「当惑」として観客も彼女と同じように体験していくことになるのだ。

映画は「知」を扱う職業の人間が徐々に知を忘却していく過程を見せる。しかし、作り手の側はそれでも何かはその人の中に残るはずだと主張しているようだ。

ただ50歳で発病して、寿命から考えればこのままあと30年は生きることになる。これは厳しい(ーー;)
症状に徘徊や妄想とかなくてよかった。少し前の新聞に「土・日曜の休みは痴呆症の父親の散歩に付き合って終わる」という記事が載ってたよなあ。

家族役の助演陣もJ・ムーアを脇から支えていた。
そういや、A・ボールドウィンは偶然にも『ブルージャスミン』でも夫役だった。彼は「知力財力はあるがいざとなると頼りにならんヤツ」みたいなのが定位置なのかね


夫婦の絆度:5点
親子の絆度:7点


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