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2015年9月20日 (日)

「コングレス未来学会議」:会議はラリる

150920
監督:アリ・フォルマン
出演:ロビン・ライト
イスラエル・ドイツ・ポーランド・フランス・ベルギー・ルクセンブルク2013年

『戦場でワルツを』の監督がS・レムの『泰平ヨンの未来学会議』(未読)を実写+アニメで映画化。さらに女優のロビン・ライトが本人役で主演(!o!)という訳の分からなそうな作品である。上映している映画館が限られているので、終了しないうちにと滑り込みで見に行ったのだった。

ヒロインは昔は人気があったが今は売れなくなった中年女優。私は「ロビン・ライト・ペン」の頃に彼女を認識し始めたので、『プリンセス・ブライド・ストーリー』のお姫様役というのは完全に忘れていた。ご当人がプロデューサーに名を連ねているせいか「『プリンセス~』の頃は本当に美しかった」と登場人物がやたら繰り返すのである。ただ、その後の「でも現在は……」の自虐ネタは相当なもん。さすが女優魂と褒めるべきか。

映画会社からデジタルデータ権を売り渡すオファーが来る。スクリーン上には彼女の合成キャラクターが出演して、一方本人が生身の役者として出ることは禁止になるというもの。
迷った挙句、権利を売ることを承諾する。この後のマネージャー役のハーヴェイ・カイテルがヒロインに語るスピーチが実に感動的で涙が出そうになった。
データ化した役者がこれぐらいに感動的な演技をしてくれれば文句はないが、実際どうなんざんしょ? 役者が役者たるゆえんは外見だけじゃないと思うが……。

ここまで結構な長さだが、これはまだ序盤だ。というか、あまり本筋には関係ない部分なんである。

20年後もはや初老の域になったヒロインは再契約に来るように言われるが、たどり着いたのは荒野のど真ん中のテーマパークみたいな地区だった。入口で渡された薬を飲むとあら不思議、全てがアニメ化(自分の身体も含めて)している。ドラッグをキメた時ってこんな感じでしょうか やったことないんで分かりませぬ。
アニメパートは昔の手描き風で、サイケ(←死語?)っぽいかなり個性が強い絵である。正直、苦手だ(@_@;)

パーク内の至る所で若いヒロインのキャラクターが活躍するアクション映画シリーズが映されている。そんな中で提示されたのは、新たなエンタテインメントとしてもはや映画のスクリーンは不要、薬物によって全身虚構の中に入るというシステムであった。
と、そこに反対する勢力が襲撃を開始して大混乱へ。

このシステムがどういう仕組みになっているのか最後まで見てもよく分からなかった。一旦、彼女は現実世界に戻ることになるのだが、そこでさらによく分からなくなる。現実では地道に労働してても、意識は優雅な暮らしをしてるのか? キリストさんとかマイケル・ジャクソンの格好しているヤツはアバターじゃなくて、その人生を体験しているの? 分からん レムの原作でもこんな調子なのかね。

最後はハッピーエンドみたいになるのだけど、息子はあのまま放っておいても幸せだったんじゃないのか。まあ、ヒロインが幸せになるのだからいいのかねえ。
結局のところ、最後までよく理解できなかった。話がどんどん展開するあまり、それを面白がる余裕がないのだ。

それにしても、この題名は苦肉の策だとは思うけど、「コングレス」って「会議」だよね……。なんとかしてくれ~~(>O<)


実写:8点
アニメ:5点


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コメント

今日観ていたのですが、よくわからなかったのは、私がときどき居眠りしていたせいかと思ったのですが、私だけじゃなかったのだとちょっと安心しました。

投稿: しの | 2016年3月13日 (日) 00時00分

何だかとてもヘンテコな映画でしたねえ。内容も邦題も(^^;)

投稿: さわやか革命 | 2016年3月14日 (月) 09時25分

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