「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」:一作見て二作分のおいしさ、とはならず
監督:ビル・ポーラッド
出演:ジョン・キューザック、ポール・ダノ
米国2015年
ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンの半生を、なんと二人一役で演じるという伝記映画である。
グループが人気が出てリーダーとして活動していた若い時期をポール・ダノ、そして表舞台から引っ込んで変な医者にとっ捕まった時期をジョン・キューザックが演じている。
ダノとキューザックはどう見ても似ている所は皆無だが、実物のウィルソンの当時の写真と見比べるとそれぞれ似ているという不思議(!o!)
……と納得しようとしても、やはり正直言って
ダノとキューザック、別人です!
と大いに違和感あるのだった。
それはともかくB・ウィルソンについては、天才で驚異的サウンドを生み出しながら様々な障壁に邪魔されたミュージシャン、というぐらいしか知識がない。ビーチ・ボーイズの曲もほとんど知らない私にとっては、なるほどこういうことだったのかとよーく分かりました。
前半は、音楽というより「音」に対しての鋭敏さという点から描かれていて興味深かった。その感覚がサウンドを作り出す一方で、周囲と齟齬をきたし、さらには病いへと追い詰められていく。その音響が彼の内宇宙を描き出している。
ファミリー・グループで暴力的な父親が支配しているというのは、ジャクソン・ファイヴにも似ている。当時の音楽産業システムの産物なのだろうか。
後半は怪しい精神医をポール・ジアマッティが演じて(怪演)悪役を一手に引き受け、その悪の手からエリザベス・バンクス扮する恋人が救出に奔走するという次第である。
こちらの方は音楽はあまり登場せず(というか、医者に無理やり作曲させられている場面ぐらいしかない)なんだか中年男女のメロドラマっぽい展開だ。
かように内容が分裂している(意図的だろうけど)この作品、一粒で二度おいしいとはならなかったのが、ちと残念。最後に元気なご本人が登場してくるとはいえ。
音楽ファンとしてはやはり前半部分が面白かった。P・ダノが実際に歌っているというのはスゴイ
後半は--B・ウィルソンのファンならどう思うのであろうか。
ダノ度:35%
キューザック度:25%
ジアマッティ度:40%
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