「ナイトクローラー」:仁義なき撮影
監督:ダン・ギルロイ
出演:ジェイク・ギレンホール
米国2014年
映画館に行ったら満員で、しかも周囲を見渡すと若いカップルが多い。えっ、これってデートムービーなのかい違うだろう?
と思って見たんだけどね……(;一_一)
職なし、カネなしでコソ泥で稼いでいる若者、彼の頭の中は中二病っぽい自己啓発本の受け売りでいっぱいだ。要するに「イタい」男なのだ。
しかし、偶然に事件や事故現場を専門に動画を撮影して売るフリーカメラマンを目撃してから、それを見よう見まねして同じく撮影取材を始める。
彼が撮った素材を買うのは、落ち目の女性TVプロデューサーである。彼の取材は段々とエスカレートする。物足りなくなって、そのうち現場を「演出」までするようになり、態度も段々とデカくなってくる。
被害者の家へも文字通り平然と「土足」で踏み込む
エスカレートして--この先どうなんのっ(>O<)とドキドキハラハラしてしまう。
と、それまでシリアスなタッチだったのが、突然ブラックかつシニカルな笑いへと転化して終了する。こいつは意外だった
で、周囲の客の反応をうかがうにどうもスクリーン上の「イタい人々」を見に来ているようなのだ。な、なるほど(・・;)『セッション』も、こういう文脈で人気があったのかねえ。
J・ギレンホールは痩せこけてギョロ目の顔を見せるだけで圧倒する怪演。レネ・ルッソも、なにげに盛りを過ぎたプロデューサーの落ちぶれ感がよく伝わってくる。お懐かしやビル・プルマンはライバルのカメラマンだよね? 気付かなかったです(~_~;)
ノイズっぽいギターサウンドが、美しいLAの映像に合っていた。
監督さんは脚本家出身でこれが第1作なのね。次作に注目
ところで、1940年代に活躍したウィージーというカメラマンをモデルにした『パブリック・アイ』という映画があった。その中で、主人公はゴシップ新聞に「(写真に写っている)死体一体につき3ドル」でギャングの抗争現場の写真を売って稼いでいた。この手の報道合戦は、近年になって過激になったというわけではないのだ。
こうしてみると、メディアの変化はあれど大衆の求めるものは根本的に変わらないようである。
グロさ:7点
イタさ:8点
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