バレエのドキュメンタリー二題:バレエ愛がなくてすみません
★「バレエボーイズ」
監督:ケネス・エルヴェバック
ノルウェー2014年
別にバレエ・ファンでもなく全く無知なのに、なぜかドキュメンタリー映画見に行ってきました(^^)b
まず「バレエボーイズ」。ノルウェーのバレエ学校に通う3人の少年の数年間を追ったものだ。最初は中学1年ぐらい? どんどん成長していって、最後には進路を決める年齢になる。
志を同じくする仲良し3人組だったのが、一人が挫折して辞めてしまったり(しばらくしてまた戻ってくる)、一人だけ優秀でオーディションに受かったり、と段々と食い違いが出てくる。
バレエの場面は思ったほどはない。3人揃って踊る場面はたいてい加工・編集されて別の音楽がつけられたりしている。むしろ、このドキュメンタリーの主眼は若者がいかに未来を選択していくか、その心の揺れと迷いを描くことだろう。
ロンドンへの留学を選んだ少年はそれまで優しい両親のもとでぬくぬくと過ごしてきたように見えるのに、いざという時は一人でロンドンに向かうことを毅然と決断する。親御さんは良いお子さんに育てましたね(涙をぬぐう)と、親目線で感動してしまうのであったよ。
国外留学するにしてもノルウェーで続けるにしても、安易な道ではないけど彼らが「バレエを選択することは生きる道を広げることである」という自覚を持っているのが感心する。
もっとも、このドキュメンタリーはバレエじゃなくて例えばスポーツ競技とか、スケボーとか、演劇とかバンド活動とか、他のものでも成り立ってしまうようにも思えた。
従って、バレエファンよりは若者の生き方、というようなことに興味がある人に向いているような映画である。
華麗なるバレエ度:5点
前途ある若者度:7点
★「ボリショイ・バビロン 華麗なるバレエの舞台裏」
監督:ニック・リード
イギリス2015年
ボリショイ・バレエ団のことなど全く知らないのに、単にスキャンダラスな事件について知りたくて見に行ってしまった私をどうかお許しくだせえ(^人^)
でも導入部で、ロシアの老舗バレエ団は国宝と同じ、などと初心者でもわかるような説明があったのは助かった
ダンサー250人、スタッフ3000人(!o!)、年に400回以上の公演、そしてクレムリンから本拠地の劇場までわずか500メートルの位置にあり、外交でも重要な位置を占めてきたという。
スキャンダルとなったのは2年前、団の芸術監督(元・人気ダンサー)が往来で顔に硫酸をかけられて失明しそうになったという事件である。しかも、犯人はベテラン・ダンサーにして労働組合(バレエ団にも労組が!)の分会長。団内は芸術監督の方針を巡って真っ二つに分裂していたのだった。
そこで、この状況を改革するために新たに劇場総裁が任命され、収拾を図る。しかし、そこへ監督が復帰。二人には色々と因縁浅からぬ過去があった。
……と、山岸凉子がバレエマンガのネタにしてもおかしくないような話である。
複雑な経緯をナレーションを全く付けずに関係者の話で繋いでいく手腕はお見事。監督、総裁の双方に密着し、さらに何人ものダンサーたちに取材。しかも、内輪の団員会議や理事会にまでカメラが入っている。どうやったんだ?
華やかなバレエ団の陰で、ダンサーたちは役が貰えない、怪我の後で復帰できるか、などと様々な悩みを抱く実情も描く。もちろん、練習やステージで踊っているシーンもある。
その虚実、明暗をうまく引き出しているドキュメンタリーと言えるだろう。
この時映画館で、以前の職場の同僚にバッタリ出会って驚いた。9年ぶりぐらいか 元々熱心なバレエファンで、どんな内容なのかよく知らずに見に来たのだという……私と全く逆ですな(^^ゞ
でも、ご贔屓のダンサーがインタビューに出てたんで、不満ではなかったようだ。
舞台上度:7点
舞台裏度:9点
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