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2016年1月10日 (日)

「ヒトラー暗殺、13分の誤算」:独裁者死なずとも、自由は死なず

160110
監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル
出演:クリスティアン・フリーデル
ドイツ2015年

1939年、とある家具職人がヒトラーの演説会場に時限爆弾を仕掛けて暗殺を謀るも、13分の差で失敗したという実話を描く。近年まで忘れ去られていた人物だという。

犯人は単独で、特定の集団に属しているわけでもない。イデオロギーではなくて客観的な「常識」からナチズムを批判し、独裁者の暗殺に至る。その過程が中心となっている。
団体を組織し、楽しげな催しを開いて人を集め……主人公が住む小さな町が徐々にナチズムに浸食されていく様相はみていてコワイ。気が付けば政治活動をやってた友人は収容所に送られたりしている。

見ているうちになんだか既視感がある--と、思ったら『白いリボン』が、やはり小さな村が変化していく同じような過程を描いていたのだった。(あちらは第一次大戦前)
おまけに主演(クリスティアン・フリーデル)まで同じじゃないですか どうりで見覚えがあるわけだ。もっともハネケの方が容赦なくてイヤミたっぷりだが。

ただ、予想外だったのが夫婦間のDVとか主人公の不倫とか凶悪なメロドラマっぽい部分が結構多かったこと。そこはやや退屈だった。

殴打、拷問、死刑--どの場面もかなり長い描写で見ていてかなり消耗してしまったですよ( -o-) sigh...
もっとも、尋問場面はもっとすごい拷問が出てくるかと恐れおののいていたが、それほどでもなくてまだヨカッタ。最近の、シリア政府軍の拷問なんて聞いただけで倒れそうな恐ろしさである。

監督は『ヒトラー 最期の12日間』のO・ヒルシュビーゲル。
新聞のインタビューで「最近、人々は民主主義でなんでも解決できると過信していないか。必要なら立ち上がり、行動しなくてはならない。たった一人でも、世界は変えられる」と語っていたのが興味深い。


暗殺度:5点
メロドラマ度:7点


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