「ボッティチェリ展」記念コンサート 3:公演後にケチがつく
演奏:平尾雅子ほか
会場:東京都美術館講堂
2016年3月31日
年度末の超忙しい時期だったが、行ってしまったミュージアム・コンサートである。
少し前の「カラヴァッジョ展」同様、こちらも講演用のホールである。音楽聴くには国立西洋美術館よりは少しマシかなという印象だ。
こちらでは解説はない代わりに、ルネサンス風のお衣装やアクセサリーなどを着けた4人の女性が登場して華やかに……と言いたいところだが、背景が殺風景なホールなんでやや残念無念な所があるのは否めない。
ガンバ平井雅子以外の面子はソプラノ名倉亜矢子、リュート佐藤亜紀子、もう一人ガンバ頼田麗だった。
プログラムには「ガンバ」と書いてあったが、実際にはその前駆的存在であるヴィオラ・ダルコという楽器を使用した。ガンバよりネックが短い。この日使ったのは16世紀のモデルだそうである。
構成はよく考えられたもので、最初はフィレンツェで同時代に奏でられた宗教曲を。ラテン語のモテトゥスに加えてロレンツォ・デ・メディチやサヴォナローラが作詞したラウダなんてのも歌われた。
次はメディチ家ゆかりの音楽家ということで、デュファイ、アグリーコラ、イザークなど。ロレンツォは美術だけでなく音楽好きで外国から音楽家たちを呼び寄せたりしたとのこと。
グリエルモという人は名前も聞いたことがなかったが、改宗したヘブライ人でロレンツォの作った舞踏も含む舞踏集を編纂したそうである。また、フランス出身のヴェルドロ(この人も知らなかったです(^^ゞ)の曲はなんとマキャヴェリが作詞だそうだ。この曲の後半は器楽だけで演奏されたがこの部分も聞きごたえがあった。
最後は、音楽が盛んだったのはフィレンツェだけじゃなかったんだよ--ということで、イタリア半島の他の都市ミラノ、フェッラーラ、マントヴァの宮廷に仕えた音楽家を取り上げた。ジョスカン、ブリュメル、トロンボンチーノなど。
ダルツァ、そしてブリュメルの曲ではそれぞれリュートとガンバが活躍して拍手喝采を送りたい気分になった。
また、クレマン・ジャヌカン・アンサンブルのやかましい歌唱で知られるジョスカンの「こおろぎ」では名倉女史以外の3人も歌に参加。やかましいという程ではないが、賑やかに曲の終わりを締めた。(これ以外の曲でも皆さん専門以外の楽器を色々と持ち替えたりしてた)
アンコールでは平尾女史によるロレンツォ振付の舞踏が披露されるというオマケつきだった。なんでもボッティチェリの「三美神」が踊っているのがこれではないかと推測されてるらしい。絵画同様のダンス(三人でなくて一人だけなのが残念だったが)に会場が湧いたのであった。
先に書いた通り、会場が殺風景だったのを除けば楽しく華やかな、企画力のあるコンサートであった。
さて、この日も続いて展覧会の方へ--と思ったら「カラヴァッジョ展」の時はコンサートのチケットで入ることができたのに、こちらは別に金を払って入場しなければならないのだ(!o!) しかし、ここまで来て観ずに帰るわけにも行くめえと入ったのだが、大抵の美術館では全員に配布している出品リストが、なんとイヤホンガイド使っている人にしかくれなかったのだよ
け、ケチくさ~(-"-)
ケチくさいと言えば、コンサートの時出演者のCDを、ロビーでなくホール内の狭苦しい所にテーブル置いて売ってたのも怪しかった。もしかして「ロビーで売るのは禁止」とか言われたんじゃないかと疑っちゃう。
展覧会自体は終了日が近かったせいもあってか、かなり混んでいた。人の頭越しでしか見られないという感じだ。さらにそれぞれの作品の解説が貼ってある所には余計に人だかりが……。こういうのを解消するにはもっと大きな字の解説を貼ればいいと思うのだが(作品と張り合うぐらいのスペースで)、なぜかそういうことはしないみたいだ。
えっ作品の鑑賞を損ねるって? でもこんな渋滞してたらそんなことは言ってられないと思いまーす\(-o-)/
そのためにイヤホンガイドがあるんだろうっても、ガイド聞きながら解説読む奴多数……ってのはどういうこっちゃ(?_?)
それはともかく作品数は多く充実していた。主役のボッティチェリの絵は少なくても、弟子や同時代の画家の作品多数で埋める、というのはカラヴァッジョ展と同じだが、全体の見応えはこちらに軍配を上げねばなるまい。作品数が多いというのもあっただろうけど。
混雑であまり集中して見られなかったけど、同じような題材を描いていてもボッティチェリは細部のこだわりが強く、特に衣服の襞とか装飾とか他の画家より群を抜いて細かく描かれている。これまた画集だとあまりよく分からないような部分であった。
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