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2016年4月17日 (日)

「カラヴァッジョ展」記念コンサート 1:リュートを弾く男を描く男を弾く男

160417
演奏:坂本龍右
会場:国立西洋美術館講堂
2016年3月28日

カラヴァッジョ展にちなんだミュージアム・コンサート。今年度「ハルサイ」ではいつになく古楽系のミュージアム・コンサートが多くて嬉しい限りだが、平日の昼間ではなかなか行けない。この日は、休めそうだったので午後休暇を取って行った。

会場が展覧会場内だったりすると嬉しかったのだが、残念ながら全く音楽向きではない講演用の小ホールである。音がデッドなのは致し方ない。

冒頭に15分ほどこの展覧会を担当した館員の解説があった。
実はこの展覧会では楽器が登場するカラヴァッジョ作品は一枚もないとのこと……と聞いて思わず倒れそうdashになるが、じっと我慢。
有名な「リュート弾き」は2枚描かれたが、それぞれ見ている楽譜の曲が違い、さらに持っているリュートも違う(6コースと7コース)ということである。
その他、「音楽家たち」など楽器の登場する作品を中心に15分ほど解説。

コンサートの方は、カラヴッジョと同時期に活躍し、ご近所の地域出身であるテルツィのリュート曲から開始。続いて、先ほど解説に出てきた「リュート弾き」の楽譜に載っているアルカデルトのマドリガーレを演奏した。こちらは坂本氏がリュート用に編曲したものだ。
セヴェリーナ、ラウレンチーニなどの作品となると、そんな作曲家聞いたことありません状態である(^^ゞ
ラストのカプスベルガーはカラヴァッジョの次世代に当たるとのこと。確かに曲はより複雑化し、親しみやすいものからより高踏的になっているようである。解説に「テルツィの曲集からわずか12年後で(中略)、そのまま後期ルネサンスとバロック音楽の違いとも言え」とあるのが納得できる。
なるほどカラヴァッジョは激動期に生きた画家であったというのが、音楽面からも納得できるのだった。


さて、ありがたいことにコンサートのチケットで展覧会の方も見られるヽ(^o^)丿ということで、その後は突撃soonしてきました。予想より客が少なかった。
彼の作品は11作品だけで、他は同時代の画家や影響を受けた後輩などの絵画である。それぞれ主題別に展示されていた。

最近、真作と認定されたばかりの「法悦のマグダラのマリア」は、マリアの閉じられているはずの薄眼が微かに光っていてなんだか不気味さが先立っていた。
「エマオの晩餐」は画集などでは分からなかったが、近くで見ると周囲の老人や女の顔や首筋には、長年の辛苦を経たような細かい皺がいっぱい描きこまれているのが分かる。それに比して若いイエスさんの顔はツルリンとして光が当たっているのだった。
ところでパンの下の大きな葉っぱはカシワかしらん?

それ以外に、カラヴァッジョが引き起こした裁判記録が幾つかあったのが面白かった。といってもイタリア語だから読めるわけではないが、1600年前後のものなので完全に古文書である。分厚い(20センチぐらい?)冊子に綴じられている中にある。内容は刀剣不法所持とか食堂での暴力沙汰とか……。ちゃんと保存されているんですなあと、妙な所で感心してしまった。

彼と他の画家を分かつのは、同じ「劇的」とか「光」といっても何か違う……と見ていて感じたのだが、やはりそれは臨場感だろうか? パッとセリフが浮かんでくるような生き生きとした場面が切り取られているのである。

今回は出展されてないが「芸術新潮」誌の表紙になった「ホロフェルネスの首を斬るユディト」なんか見る度に、「あーやだやだ、なんで私がこんな小汚い男の首を斬らなきゃいけないの。服に血が付くと洗濯が大変だから気を付けなくちゃ」とボヤいている言葉が脳内に浮かんでくるのであった。これって私だけか(^^?)

美術館のショップでは関連グッズを売っていたけど、彼の作品をあしらったクリアファイルとかさすがに日常的に持っていたくはないので、シチリア産レモンのジャムを購入。おいしかったです(^^)

ところで、私が初めてカラヴァッジョという画家を知ったのは恥ずかしながらデレク・ジャーマンの伝記映画を見てのことである。(過去に感想を書いてました→こちら
この映画で画家当人を演じたナイジェル・テリーが昨年の4月に亡くなっていたのに全く気付かなかった。今年に入って「昨年の映画人の訃報リスト」みたいのを眺めていて初めて知った。不覚である。D・ジャーマンは常に自分を投影した人物を彼にあてていたようだ。『エドワード二世』もやはりタイトルロールをやってくれと依頼したが、テリーは断って悪役の大臣を演じたとのことである。
他には『冬のライオン』のダメダメな末息子(TVドラマ『エンパイア 成功の代償』のハキームに当たる役)や『エクスカリバー』のアーサー王(ヒゲがないとマーク・ハミル顏になると当時評判に)を演じた。
私が最後に見たのは、ゲスト出演したTVドラマ『法医学捜査班』であった。


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