最近見た(というわけでもない)映画感想
どうも最近、映画の感想の更新が滞ってたまり過ぎております。連休にも消化できなかったので、数作まとめて書いてしまいます。
☆「ブリッジ・オブ・スパイ」
監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:トム・ハンクス
米国2015年
スピちゃんが登場した時、こんな正統派監督になるとは誰が予想したでありましょうかってなぐらいに、地道でクラシカルな味わいもある作品。
また、主役が民主党・共和党それぞれの支持者から共に一番人気だというトム・ハンクス(もはや米国良識派の顔か)なんだから、ますます正統派っぽい。
冷戦下の1960年にあった実話を元に、米ソのスパイを壁で東西に分かれていた頃のベルリンで交換する交渉の過程を描く。うさん臭い状況が続き、やり手の主人公の弁護士は果たして荒業を使ってうまく交換できるのか。見ていてハラハラドキドキさせる。
照明が美しく、小道具、セット、衣装も当時の雰囲気を完璧に漂わせている。
唯一の欠点は、スキがなさ過ぎるところだろう(~_~;)
スパイ役を演じたマーク・ライランスが非常に印象に残る。オスカーの助演男優賞候補に選ばれて納得だと感じたけど、受賞するのは間違いなくスタローンだろうと思っていた。しかし、ふたを開けたら彼だったのでビックリだ
このように初めてのノミネートで獲得する人もいれば、一方音楽担当のトーマス・ニューマンは13回目の候補で未だ無冠だそうである。
☆「完全なるチェックメイト」
監督:エドワード・ズウィック
出演:トビー・マグワイア
米国2015年
チェス史上有名な「天才」ボビー・フィッシャーの、少年時代からチャンピオンになるまでの半生を描く。
彼は奇矯な言動で、チェスで頭角を現すようになってからも周囲を振り回す。姉は精神病院に行くことを勧めるが、薬を飲むと試合ができなくなると拒否。
さらにソ連のチャンピオンと対決となると、冷戦の時代柄、双方の政治家が応援して代理戦争のようになってしまうのだった。
チェスに無知な人間が見ても分かるように作ってあるのは助かる。しかし、これが天才ミュージシャンだったらライヴ場面で盛り上がれるけど、こちらはただ渋面で盤をにらんでいるだけだから今一つ「絵」にならないのが難しいところだ。
主役のT・マグワイアはエキセントリックな役柄で、なんだか『ナイトクローラー』のJ・ギレンホールとカブってしまうのだった。
それよりも、国家の威信を背負わされて立って重圧に耐えているようなソ連のチャンピオン(リーヴ・シュレイバー)や、自身もチェスの才能はあるだろうに主人公を支える側に回る神父(ピーター・サースガード)の方が気になった。
映画では描かれなかった、チャンピオンになった後も主人公は波乱に富んだ人生を送ったもよう。確か日本にも在住してたはずである。
音楽は超ナツメロ大会。懐かし過ぎて涙が出ます(T^T)
☆「サウルの息子」
監督:ネメシュ・ラースロー
出演:ルーリグ・ゲーザ
ハンガリー2015年
ユダヤ人強制収容所で、ガス室の死体処理に従事していたユダヤ人がいた。彼らを初めて取り上げた作品。
極めて評価が高く、他のブログでも取り上げられた数が多かったが、私は主人公の言動にイライラしてしまい、どうにも映画の世界に入り込めなかった。
映画というものは必ずしも登場人物に共感して見なくてもいいはずである。しかし、この作品は常に主人公の「一人称」目線(いや正確には「二人称」か?)になっていて、周囲はピントをぼかしたように撮られているという特殊性がある。主人公と同一化しなければ見ていられないだろう。
彼の行動が「人間性の証」であるとはとても思えない。私にはむしろ人間性が失われた行動にしか見えなかった。他の収容者を何人巻き添えにしても執着する姿はまるで幽鬼のようである。
早い話が、もし主人公が「ブツ」をなくさなければ一人か二人は逃走できたんじゃないの?などと思ってしまう。
彼の周囲で起こっているは恐ろしく陰惨なことばかりで、とても正気ではいられないとは分かっていても、やはり彼にイライラしてしまうのであった。
まあ、相性が悪かったとしか言いようがない。
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