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2016年5月14日 (土)

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2016

160514

今年のLFJはテーマが「ナチュール-自然と音楽」とのことで、バロック系も多くやるのではないかと期待されていた。しかし、実際にプログラムが発表されると純粋に古楽器による古楽は昨年より少ないぐらいで、いささかガッカリ感があった。

☆「フランス・バロックの「四季」」

演奏:レ・パラダン
会場:東京国際フォーラムホールB5
5月4日

本来は鍵盤+ガンバ+ソプラノ2名でシャルパンティエのモテット「四季」を中心に、同時代の作曲家の曲もまじえて演奏するはずだったらしい。しかし、ソプラノの一人が喉の炎症で休場。急きょプログラム内容を変更したとのことである。
事前に音楽祭のスタッフから説明があった。

変わったのは歌曲の大半がランベールになったことだろうか。マレのガンバ曲4曲はそのまま元プログラム通りだったもよう。

残ったソプラノの人は声量はあった(横に細長い会場に声を均等に届かせようと気を配っていたようだ)が、それ以外は精彩に欠けてウムムム(ーー;)であった。
全体の印象は可もなく不可もなくといったもので、正直日本のグループでもこれぐらいの水準の演奏はできるだろうと思えた。
まあ、来日してから曲目を変更したのだろうから仕方ないのだろう。

面白かったのはクープランの「ルソン・ド・テネブレ」で、短い楽章ごとにオルガンとチェンバロを交互に弾いていたこと。気ぜわしい感じである(^^;

ウメオカ氏のブログによると、もう一人のソプラノが復帰した5日の演奏は素晴らしかったとのこと。聞きたかったぜいear

終演後、そばの席に座っていた高齢夫婦のダンナの方が、「音程が悪い、声量がない……シャンソン歌手でも連れてくればいいんだ」と歌手のことを手ひどく罵っていた。そんなにひどくはなかったと思うが(?_?) なんだかビックリしてしまった。


☆「ロワール川のほとりで」

演奏:アンサンブル・ジャック・モデルヌ
会場:ホールB5
5月4日

ルネサンス期の合唱曲というと、タリス・スコラーズやシックスティーンなど有名どころは来日するが、近年それ以外の海外グループはなかなか聞けないのが実情である。
このグループは結成40年を過ぎているというが、生で聞くのは初めてだ。

プログラムはルネサンス期のアカペラでの宗教曲・世俗曲全10曲を取り混ぜて歌うというもの。しかし、全体では一つのミサを成すように構成されているのだ。
作曲家はオケゲム、ジャヌカンといった大御所からカイェタン、フォーグなどという名前も聞いたことのない人まで(!o!)

歌手は全部で10人。宗教曲の時は全員で、さらにJ・スービエが指揮に立つが、シャンソンの時は3、4人で入れ代わり立ち代わり指揮なしで歌う。
聖俗どちらもイケますっonという勢いで、コーラスとしてのまとまり重視の時と個々の掛け合い風の時とちゃんと歌い分けているようだった。
できればちゃんとした音楽ホールで聞きたいとセツに感じた。

同じプログラムを4回繰り返して公演したようだが、どうせなら2種類ぐらいやって欲しかったのう。


☆ピエール・アンタイ

会場:G409
5月5日

P・アンタイはLFJで過去数回来日していると記憶しているが、いつも朝一番か夜の遅い回なので行ったことがなかった。しかし、今回は最終日だけ夜の8時半からだったので(他の日は夜10時から)チケットを頑張って取ったのである。

LFJの今年のテーマが「自然と音楽」なので、ラモーとクープランの短いチェンバロ曲でテーマに合うようなタイトルのものを選んで演奏--という趣旨だった。クープランの方が7割ぐらい占めていた。

会場は本来「研修室」として使われている部屋で、天井が低く細長いスペースである。全くもって音楽向きではなくて、アンタイが弾き始めた途端に「あ~down」とガックリしてしまった。距離は近いのに、音が遠くにしか聞こえないのだ。レ・パラダンの時はもっと離れていてもチェンバロはくっきり聞こえたのに……。
もっとも、聞こえ方が二つの会場で逆だった人もいたようで、どうも位置や楽器の向きが関係しているようだ。そう考えると、専門の音楽ホールというのは位置で聞こえ方に差がなるべく出ないように作られているのだなと思った。

それはともかく、アンタイの演奏は極めて早く、まるで生き急いで……ではなく、弾き急いでいるよう。聴いてる側もなんだか落ち着いてはいられない。畳み掛けるような鍵盤の音の連なりに、アセアセ(~_~;;してしまうのだった。

なので、短い曲がどんどん演奏されるのでどれがどの曲が判別できなくなってしまうほど。しかも、どこからかドコドコという音がする。と思ったら、彼が床を踏み鳴らしているのだった。見てると、チェンバロの上の譜面台も揺れていた。

ラストのラモーの「めんどり」では鳥を模したエキセントリックな音の連なりを鮮やかに表現し(手の動きもすごかった)、拍手喝采となった。

アンコールは全3曲と大盤振る舞い。スカルラッティは技巧的な曲をものすごい速さで弾きまくり、またもや聴衆を圧倒したのだった。
全編、煽り立てられているようなコンサートだったが、最後のアンコール曲のバッハだけはゆったりとした気分に満ちていた。(最終日の最後だったからかな)

終了は10時近く。LFJでは基本45分間の演奏でチケット代が2600円ぐらいが通常ということで、普通のコンサートと比べて安いわけじゃない、という意見が以前から出ていた。
しかし、このコンサートは2100円で1時間数十分、ビッチリと超絶演奏が聞けたのだから、完全に元は取れた。満足であ~るfull

終演後は薄暗く、もはや人気もまばらな国際フォーラムであった。祭りの終わりをヒシと感じたのであるよ。
来年のテーマは「ダンス」とのこと。古楽系についてはもう期待しないでおこう。通常の来日が望めないようなグループが来てくれればいいや(^_^メ)という感じである。


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