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2016年6月19日 (日)

「バンクシー・ダズ・ニューヨーク」:NYお宝探しツァー

160619
バンクシー……「英国出身」という以外は何も明らかになっていない正体不明のアーティスト。作品は高額で取引されるが、正直言ってうさん臭い。まあ、もっとも現代アート自体うさん臭いと言えばそれまでだが。

その彼がニューヨークでの新しいプロジェクトを行なった。一か月間、毎朝インスタグラムでストリート・アートを公表する。展示場所は不明だがオーディオ・ガイド付きで、それを追って行けばその作品にたどり着けるというものだ。
ファンや好事家など人々は右往左往して探し回り、ラインで情報が流れては皆が押し寄せる。SNSを使ってこの騒動もアートの一部にしているようである。
しかし、これってなんか人をおちょくってないか?

ドキュメンタリーは、バンクシーのおっかけカップルに密着取材。毎朝、二人が作品を求めてニューヨークを走り回る様を見せる。この取材自体は金もかからずお手軽な作りである。

作品の多くはグラフィティ・アートで、いたずら書きする奴、消す奴、保存処置する奴、見物料金取る奴、怒る者いれば喜ぶ者もいる。さらにはギャラリーに持って行って売ろうとする者まで現れる。

ただし、この手のアートはその場にあってこそのもの。その証拠にギャラリーに飾られた石積みのスフィンクスはなんと詰まらないことか。やはり、薄汚い工場街の水たまりにあるからこそのインパクトである。
一方、路上のみやげ物屋のおぢさんに自分の真作を60ドルで売らせるという、イヤミでいたずらなパフォーマンスも。街ゆく人は気にも留めずほとんど売れなかったという。(←これは当時日本でも報道された) 3枚も買った旅行者は大もうけですなdollar

いずれの作品も用意周到、手際よく計算されている。自分で起こした騒動をせせら笑ってに眺めているようだ。
これらをアート自体の価値を問う行為と見るか、冷笑的な売名と見るか、その答えは観客によって様々だろう。
とはいっても正直、人々が右往左往する様は面白い……ってなっちゃうんだよね(~_~ゞ

上にドキュメンタリーとしての取材はお手軽だと書いたが、ネットの画面を挿入したりしつつかなり編集はうまく、全体はサクサクと進んで飽きさせない。ラストも皮肉だ。もっとも上映時間自体が81分と短いんだけど。

バンクシーの正体は作中で論議されているように、大掛かりで、多くの人手を使っており(口外しないように契約書を交わしているとか?)恐らくは事前にスペースや機材を借りたりしているのだろうから、一人ではなく集団だろう。もちろん強力なリーダーに率いられている可能性もある。

--と思ったら、新聞の特派員コラムにバンクシーについての記事が出ていた。フランスのカレーに作られた難民キャンプで、バンクシーが出現してS・ジョブズの絵を描いたというのだ。それを目撃した難民によると、白人男性が一人で現れて絵を描いたという。たき火にあたりながら「反難民」気運を批判し、助けになりたいと熱く語ったそうな。
うむむむ……昔の画家の工房みたいに弟子が分担して描いているのかしらん(^^?)


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