「ストレイト・アウタ・コンプトン」:成功のち分裂、時々裏切り
長いこと見るかどうか迷っていて、結局ロードショー終了間近になって見に行った。
なぜ迷っていたかというと、私はラップとかヒップホップが非常に苦手だったからである。
しかし見てみると、ミュージシャンの成功→分裂→和解の物語としてかなり正攻法な作りであった。
ただし、若い黒人を取り巻く環境は暴力的で、困難を極める。何せLAの街角じゃ集団でたむろしているだけで警察のお縄を頂戴する羽目になってしまうのだから。
彼らのグループNWAが成功するにつれ、待遇の差などが表面化し、メンバーはバラバラになる。一方で、白人マネージャーの長年の不正が発覚する。
ここで疑問だったのは、中心的に描かれているイージー・Eがどうしてマネージャーをあそこまで信頼していたのか、ということだ。ヤクの密売人やってて他のメンバーよりスレていたと思うのだが、他に何か理由があったのだろうか。
生き残ったメンバーが製作に関わっている分、描けなかったことも多数あるのだろうかと思ってしまう。
これを見て、抑圧に反抗する若者の音楽というかつてのロックが担っていたものを、今やラップ・ミュージックが取って代わったのが身に染みてよーく分かった。世界中の若者に受けるわけだ。時代は変わる、音楽も。
もっとも、TVドラマ『エンパイア 成功の代償』を見ていると、ラップ/ヒップホップ界も今や立派なエンタテインメント・ビジネスのようであるが。
それにしてもミュージシャンが成功すると、酒・ヤク・裸のねーちゃんに溺れるというのが人種民族音楽ジャンルに関係なく共通のようなのは困ったもんだ。(別に困ってない?)
マネージャー役のP・ジアマッティはさすがの貫禄。この人、『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』でも似たような役をやっていたけど、完全モードの悪人やら卑俗な弱さをチラつかせる小悪党やら、演技の自由自在な目盛を持っているらしい。
若者たちでは、アイス・キューブの息子が父親クリソツなのが微笑ましい。
ラップの部分はオリジナルを使って吹替えてるのかな?
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