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2016年7月

2016年7月31日 (日)

聞かずに死ねるか:マイナー・コンサート編 8月版

7月は1回しかコンサートに行きませんでした。早くも夏バテかsun

*7日(日)レアンドルとエロー(横町あゆみほか)
*11日(木)イタリア・スペイン バロックの曙光(古橋潤一、能登伊津子)
*13日(土)ローズ・デ・ヴァン
スパニッシュ・ケルト+ジャズ+クラシック……高橋美千子女史、こういうジャンルも歌ってるんですな。
*21日(日)フランスバロックの祝典(フォンス・フローリス&コントラポント)
*22日(月)灼熱のイタリアン・バロック!(ラ・ムジカ・コッラーナ)

サイドバーの「古楽系コンサート情報」もごらんください。
8日(月)~12日(金)は、NHK-BSの「クラシック倶楽部」で古楽ウィーク開催ですよっheart02 BS見られる人は要チェック。

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2016年7月27日 (水)

「スポットライト 世紀のスクープ」:正統派ジャーナリズムを見よ!

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監督:トム・マッカーシー
出演:マーク・ラファロ、マイケル・キートン
米国2015年

カトリックの聖職者による子どもの虐待問題を暴いた新聞のジャーナリストたちを描く。先日のアカデミー賞では作品賞(と脚本賞)を取って話題になった。極めて地味な作りなので、もしアカデミー賞を取らなかったら、日本公開されなかったかも。

見て意外だったのは、あくまでも虐待事件そのものではなく、記者の地道な取材についての描写が中心だったことである。スキャンダラスな所とか派手な表現などは一切ない。
さらにエキセントリックな人物はほとんど登場せず、ほとんどが「普通」の人々である。
だからこそ却って、よほどの優秀な役者が揃ってないと難しい作品だろう。もちろんM・キートンを始め名優揃いなので、しっかりと出来上がっている。
ただ、積極的に褒めたたえたいかというと……うーむ、あまりそういう気にはなれない。正統的過ぎるかなあ。

それから、日本だと教会の権威の大きさというのがよく分からないのが弱点である。その秘密を暴くということの困難さもだ。
教会が頻発する事件を組織ぐるみで隠蔽を図ったというのも大きい。いかなる組織もやはり腐敗を免れないものなのだろうか。

監督は『扉をたたく人』の人だったのね。監督業よりも脚本家としての方が評価されているみたいだ。この作品も別の人が演出やったらどうなったろうか。

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2016年7月24日 (日)

「テレマン パリ四重奏曲」:パリの異邦人

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全曲録音CD発売記念コンサート
演奏:前田りり子、寺神戸亮、上村かおり、チョー・ソンヨン
会場:近江楽堂
2016年7月16日

数か月前に別のグループの演奏を聞いた「パリ四重奏曲」、今回も優れものの面子で聞いてきた。

CD発売記念とのことで、曲目解説にはCDのライナーノートが使われていた。誰でも演奏しやすい曲を書いてきた(筆者の前田りり子はかなりここを強調している)テレマンが、バリでの滞在の中でこの曲集については技巧的で難易度高く、精緻なアンサンブルによって成り立つ作品として作ったという。

要するに、奏者にとっては大いに演奏しがいがある作品ということでろう。
その通りに先鋭的な姿勢のアンサンブルが聞けたコンサートだった。ただ、私個人は前回の「ハンブルグ四重奏曲集」の方が好みかなー。

りり子女史のトークはまたも爆発bomb オランダの教会でこの曲を録音した時に襲った数々のトラブルについて語りまくり、聴衆を大いに笑わせていた。

この日は気温があまり高くないが湿気はやたらとあった日で、きっと除湿のためにエアコンが効きまくりだろうなと予想。先日の教訓を生かして厚めの上着を持って行って正解okであった。


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2016年7月23日 (土)

「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」:憎悪・友情・敗北

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監督:アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ
出演:クリス・エヴァンス、ロバート・ダウニー・J
米国2016年

見終わって映画館の通路の前を歩いている大学生らしき男子二人が「面白かったけど、話がよくわからなかった」「俺も分からなかった」と話していた。
私はそれを耳にして、クワーっ(`´メ)なんたること、全く今どきの若いモンはしょーもないannoyなどと苦々しく思った。
しかし、家へ帰ってネットの他の人の感想を読んだら、私もまたかなり分かってなかったことが判明したのであった……(+o+)トホホ
それで二度目も見に行きましたよdash

キャプテン・アメリカのシリーズと入れ子状態に公開されている「アベンジャーズ」の前作では、やたらと味方の数が増えてきて「なんじゃこれは?味方のインフレーションか」などと疑問であった。
が今回、その理由が分かった。アベンジャーズがアイアンマン派とキャプテン派に分裂して身内同士で闘うpunchという展開になる。そのための味方増員だったらしい。加えて、アントマン、スパイダーマン、ブラックパンサーも参加という紅白歌合戦ならぬ、豪華面子による鉄米大合戦だったのだ(!o!)

冒頭、キャプテンたちが宿敵を追って激しい戦闘がいきなり展開。しかし、結果は敵の自爆を引き起こし多数の死傷者が出る。このあたりの映像は明らかに911を想起させるものである。
他国で勝手に暴れた揚句に犠牲者を出し、結果はテロもどきとあって、世論が非難轟々状態となるのは仕方ない。
そこでアベンジャーズを国連の管理下に置くという案が出るが、かねてより水と油の対称的性格だったアイアンマンと主人公の対立が深まっていく。なぜなら、一歩誤ればウィンター・ソルジャーのように意志もなく一部の利益のために操られる存在になってしまう可能性はぬぐえないからだ。

結果、米国の正義を体現しているはずの主人公の側が放逐されてしまうのは、皮肉としか言いようがない。
仲間内でもめているうちに、さらに強大な敵が多数出現の危機が明らかにdanger と、その背後には……

……などと物語が進む間にも激しいアクションや戦闘場面が目まぐるしく挟まれて気を取られてしまい、深く考える間もないってのはこのことだいっtyphoon

大義と対立の陰で復讐と怨念が渦巻く。そのどちらにも平和はなく、まさしく現在の世界の混沌をそのまま映しているようである。
主人公とバッキーが二人してスタークをぶちのめしている図など、もはや世も末としか思えない。
かように陰鬱な展開の中で、お笑い担当fujiのアントマンとスパイダーマンの活躍シーンだけが一服の清涼剤の如きだった(^O^)
でも、原作はもっとウツ展開なんだって? 恐るべしよ。

終盤に至るまで両者の対立は解消されず、観客側も一体どちらに肩入れして見ていいのか迷ってしまう。ここには「正解」は提示されていない。
しかも、主人公の内奥はほとんど描かれず(最後にその理由が判明するのだが)スタークの方の心理や行動の方はちゃんと描写されているので、どっちが主人公なのか(^^?)も怪しく見えてしまう。
面白かったのは、ネット上で感想を書いている人も「鉄男派」と「米主将派」にキッパリ分かれていたことである。まあ、元々双方それぞれファンがいるのだが、こうもはっきりと分かれるとは、驚きだ。
と思ったら、なんと監督はわざと観客の意見が真っ二つになるように作ったのだという。なんてこったいsign03 すっかり手の内にはまっておる。

ただ、本作最大の問題点は「米主将ドヤ顔事案」である。CIAの金髪のおねーさん(←最初、誰だか思い出せなかった。前は赤毛だったよね?)と熱烈キスをした後で「どや、やったぜい」と偉そうに、車中で待機してるバッキーとファルコンを見やると、二人はあたかも中二男子の如き下卑た笑いで応じるという場面である。
正直、こりゃ「男同士の絆」案件か。ここだけは全くいただけねえ(-"-)と思った(実際、同じような感想を二、三見かけた)。
しかし二度目に見直してみると、彼女不在歴70年余?のキャプテンが嬉し恥ずかしテヘベロ(^^ゞ状態なのを、友人二人が「まあ、よかったじゃねえか」と生暖かく見守るという印象に下方修正されたのだった。
やはり一度見ただけではよく分かりません。

それから疑問に思ったのは、結末近くでジモがキャプテンに「青い瞳だと思っていたら、間近に見ると青に緑が散っている」なんてことを語りかけてたけどどういうことsign02 狂気を表わすためなのか。

結局、本作を二度見ただけでなく、これまでの「キャプテン・アメリカ」パート1&2『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』も見直してしまった。話がゴッチャになって誰がどこに出てきたのか忘れて混乱したからだ。おまけに勢いで、これまで未見だった「アイアンマン」のパート2&3まで見てしまったよ。ムムム(ーー;)いかん。

再見したら『ウルトロン』と『ウィンター・ソルジャー』の評価はかなり上がった。特に前者については「次作見に行くかはビミョー」とか書いちゃったが、それどころか是非見に行かなくてはなるまい。この終盤がド派手なアクションと破壊場面で、「なるべく市民を助けよう」などと言ってるのはなんだか似非ヒューマニズムっぽいなんて思ってたのだが、こんな展開が来るとは意外である。
とはいえ、あんまり期待し過ぎてもな……(=_=) 以前にも某シリーズでガッカリして映画館の床に倒れそうになったことがある。

「ウィンター~」の方は、最初見た時はよく覚えてなかったのだが、なんと結末近くでキャプテンはバッキーのためにこちらでも盾を捨てているのだねsweat01 なんたる友情に厚いヤツ(号泣)。スタークが、嫉妬の入り混じった恨みがましげな視線で「私も友人だった」(←あくまでも過去形)と言うのもむべなるかなだ。

それにつけても、『ズートピア』といい本作といい、米国製エンタテインメント侮りがたしflairとつくづく感じた。


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2016年7月16日 (土)

「ミューズパイプオルガン特別講座 オルガンの仕組みを知る」:オルガンは世につれ人につれ

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講師:松居直美、梅干野安未
会場:所沢ミューズ アークホール
2016年7月2日

前回に参加した講座ではあえなく玉砕した私であるが、内容的には今回の方が初心者向けなので勉強しようと行ってみた。
その前の週、コープマンのオルガン公演で賑わっていた同じ会場はひっそりとして人気もほとんどない。

講座の初めはオルガンの歴史から。なんと紀元前のギリシャに「水オルガン」というのがあったという。さらに「オルガン競技会」なんてのも開催されたとか。15世紀までは鍵盤は一段だけだった、昔はゲンコツで鍵盤を押していた(力勝負か!)……などなど、興味深い歴史が色々とわかった。

現代の人間にとって謎なのはやはり「ふいご手」の存在であろう。大きなオルガンは会場から離れた所で大勢で押さねばならぬ。質問タイムにはその話題が出て、ふいごのそばに譜面台があった教会もあるとのことであった。

その後は、パイプの種類について。これまたたくさんあり。木製で断面が四角のヤツもあるんですね(!o!) 知らんかった。ドイツ系、フランス系のパイプでは音色が異なるとか。
さらにレジストレーションについて解説。合間に梅干野女史の実演も入った。

質疑応答では、オルガンというのは空間・目的などによって作成時から違ってくるとのこと。オペラシティ、サントリーホール、川崎ミューザも所沢と同じドイツ系のビルダーが作製したが、やはりどこも同じではないそうである。
サントリーと比べると、所沢の方がバロック的だそうな。

小学生から「弾いている人と会場の人と同じ大きさの音に聞こえるのか」という質問が出た時は、会場から感心したようなどよめきがもれた。やはりお子様の発想は柔軟である。単純な疑問だが、演奏者しか分からない事だ。
答えはやはり、鍵盤の近くのパイプの音が大きく聞こえるとのこと。しかし、客席には鍵盤から離れた大きなパイプの方がよく聞こえるので、演奏前に色々と聞き比べなければならないとのことだった。

最後は実際に演奏台の所まで上がって見学。普段は見られない楽屋口など覗けて、そちらもなかなか興味深かった。鍵盤の両横の格子扉を開けてもらって内部のパイプも見られたのは、やはりシロートには滅多にない機会で嬉しかった。

それにしても、オルガンという楽器は作られた場所と時代によって固定されたもの、であるならドイツ教会のバロック期に作られたオルガンではフランスの近代曲を弾くのは無理ということになるわけか(?_?)
場所×時代×曲×奏者によって組み合わせは変わるから、同じ演奏はほとんど存在しないといことにもなる。むむむtyphoonオルガンの世界は底深いぞ。
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所沢ミューズについて言えば、全部で三つのホールがあるが、いずれも音楽向けの音響という点から考えると満足できない(内部のデザインは美しいが)。特にアークホールは音楽用に作られたのにも関わらず今イチだ。
オルガンが良くてもホールの音響がよくない場合はどうなるのか?ということを質問してみたかった。

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2016年7月10日 (日)

「ヴェネツィアの休日~協奏曲とシンフォニア」:踊るリュートと姿なきヴァイオリン

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演奏:ベルリン古楽アカデミー
会場:トッパンホール
2016年6月27日

このグループのコンサートは4回目。しかもLFJでの来日は除いてだ。もっとも、メンバーの構成がその時によって違ったり、コンミ(マ)スもまたG・カルヴァイトの時とミドリ・ザイラーの時がある。(今回はカルヴァイト)

今回の来日では二種のプログラムがあり、私はバッハ父子がテーマの方はパスした。かなり古典派寄りで守備範囲から外れるからである。もう一つはヴィヴァルディを中心にしたイタリアバロックだったが、正直あまり期待してなかった。
というのも少し前の同じタイトルのCDが今イチだったからである。

だが、実際に生で聞いてみると全く違った。
オーボエ独奏が多いプログラムだったが、そのソリストはクセニア・レフラーという金髪のおねーさん。これが神技的オーボエを吹きまくったのであった。マルチェッロの曲はもちろんだが赤毛司祭のオーボエ協奏曲も拍手喝采shineである。

またヴィヴァルディの二つのヴァイオリンのための協奏曲では、左右に分かれた二人のソリストが激越に弾きまくり、双方向からの攻撃がステレオ効果をもたらす。しかも曲自体が左右で微妙にずれたように作られているので、なんだか頭のど真ん中でギコギコとすり合っているような気分になるのだった。
以前も思ったことだが、過激派はイタリアだけに非ず。ドイツも忘れちゃいかんのであったdanger

その他、テッサリーニは少し後の世代ということで古典派っぽいところあり。人数少な目の編成で演奏されたアルビノーニのソナタは明るい印象。

もう一人、演奏者で異彩を放ってたのはリュートのリー・サンタナである。この人はルネサンス曲とかトラッド・フォークの中間あたりの録音を出していたはずだが、このような正統的アンサンブルに参加するとは思わなかった。(CDでは他の奏者が担当)
この人がまたバロックギターも含めてなかなか面白い&巧みな演奏をしてた。
特にアンコールの2曲目のヴィヴァルディのチャッコーナでは、本演奏の時よりも舞曲度をアップさせ、民俗音楽っぽさを爆発させていた。

なお、アンコールではカルヴァイト氏も姿をくらまし、会場のいずこからか音だけ聞こえてくるという芸当(^^♪を行なった。(種明かしはこちら

トッパンホールは久し振りに来た。以前は、レオンハルトのソロ・コンサートとか年に二・三度は来ていたんだけど……。中ぐらいのホールとしては、上野の石橋メモリアルと共に古楽アンサンブル向きの音響だと思うので、ぜひもっと古楽系をやってほしい。

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2016年7月 9日 (土)

「トン・コープマン オルガン・リサイタル」:バッハ特製脳内麻薬

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会場:所沢ミューズ アークホール
2016年6月26日

コープマンが久しぶりに単独来日し、ツアーを行った。川崎は遠いので所沢公演を選択。この日は他にもBCJとベルリン古楽アカデミーのコンサートが重なっていたので、客が分散したのか後方のサイド席は結構空席があった。
私は実は日時をよく確かめないで後からうっかり同日のBCJを買ってしまい、直ぐ気づいてぴあでリセールをしたのだった。(こんなんばっかりよ)

演奏されたのは大半がバッハだったが、冒頭にブクステフーデを3曲、その間をつなぐようにスウェーリンクとフランス人のダカンを置いて、それぞれがバッハに与えた影響を辿り浮かび上がらせるという次第である。

過去の自分のブログを探ってみると、2008年のオペラシティ公演と内容が似通っていたようである。
違うのはブクステフーデとバッハの間の曲目がブクステフーデだったことか。

8年間の時間差があったが勢いは変わらず、全くの「攻め」の演奏だった。思わずマンガの『ちはやふる』もどきに「私は攻めの演奏だから--。この曲と決めたら怒涛のようにひたすら弾きまくるの」などというセリフが頭に浮かんでくるのだった。

他の人の感想を読んでみるとミスタッチも結構あったらしいが(そういやトーシロ耳にも「ん?」という場面が)、そんなこたぁ気にしないとばかりに押して押して押しまくった演奏だった。

アンコールは他の会場同様3曲だった。譜めくりの人が楽譜を準備するかどうかで、アンコールやるかどうか分かってしまったのはご愛嬌(^○^)

カバニエルス(でいい?)の「第2旋法によるティエント」は機関銃のような曲。スカルラッティの軽妙でヒラヒラしたソナタは前回もアンコールにやったようだ。

こうしてみると、バッハの大曲というのはどうも聞いていると快楽をもたらす脳内物質が分泌されるのではないかと思った。今回も脳ミソがプカプカする感じだった。まるでドラッグを摂取したみたい(したことないけど)。
いくら大曲でも他の作曲家の作品ではそう感じたことはない。短いけど今回のカバニエルスの曲もそんな印象だが、高音の金属的な響きが現実に引き戻すのである。
バッハ先生ドラッグ製作者かsign03

コープマンは曲が終わるごとにピョコピョコとお辞儀して挨拶し、長蛇の列となったサイン会(開場販売のCDほぼ売り切れfull)でも一人ずつにピョコピョコと丁寧に挨拶していた。

さて、思い出せば前回の来日時には会場でアムステルダム・バロック・オーケストラのチケットを買ったのだった。普段はぴあかe+で買うのだが、その時だけなぜかそうしたのだ。そしたら、なんと招聘元が倒産か何かで公演中止になってしまったのである(!o!)
プレイガイドで買った人は返金されたのだが、直に購入した者には一銭も戻らず……。クヤシイッ(><)

今度の秋には無事に来てほしいもんである。(~人~)タノム


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2016年7月 3日 (日)

「ズートピア」(字幕版):理想郷に○○はいない

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監督:バイロン・ハワード、リッチ・ムーア
声の出演:ジニファー・グッドウィン
米国2016年

ディズニー・アニメの新作は「アナ雪」同様、日本では口コミで尻上がりに大ヒットした。
私はといえば、そんなことは予想だにせず公開初めに急いで見に行った。なぜなら、時期が遅くなると字幕版が終わってしまうのが常である。後からすれば、そんなに焦る必要はなかったのに。

様々な動物が肉食も草食も共存する社会。多民族・人種が仲良く共生し、体格が違おうと完全バリアフリー社会という設定だ。現実の世界で当てはめてみると、公民権運動後に完全に平等になったような感じである。
しかし現実の公民権運動後も差別が残ったように、理想と見える社会にも色々と陰の部分があるのだった。

そんな架空の世界を背景に、ストーリーは往年の快作『48時間』を思わせる、新米警官(ウサギ)と憎めない詐欺師(キツネ)の速成コンビが、ギャグっぽい駆け引きを繰り返しながら事件を追いかけていくというものである。

様々な動物たちがそれぞれの特性に合うように作られた地域にすみ分けながらも共生している様は、エネルギッシュで多様性に富んでいる。

個々の動物の設定や小ネタがおかしい。小さなネズミがマフィアのボス(『ゴッドファーザー』をなぞったセリフを語る)で、巨大なシロクマがその用心棒とか。運輸局窓口のナマケモノのネタは相当笑える。これは米国では現実に免許更新にすごい時間がかかるのをギャグにしているとのこと。
個人的におかしかったのは、ヌーディストクラブの場面。映画の観客にとっては動物が裸なのは普通だから見てて何とも思わない中で、ヒロインのジュディだけが顔を真っ赤にして恥ずかしがっているというギャップが笑える。(それを涼しい顔して眺めているキツネのニックがまたなんとも……)

よくできていると思ったのは、小さなお子様はいろんな動物がウロチョロ登場するしているだけでも嬉しいだろうし、事件の謎の解明は警察ものやミステリ好きに受けるだろう。また、働く若い女性は、努力家の優等生なヒロインが警官になってからの挫折感に共感することだろう(警察署長がジュディに対し、世間の「アナ雪」指向をクサす場面あり)。「OLあるある」みたいな事例がたくさん。--と、様々な面から色々と楽しめる作品だということだ。

また、多数派による差別という社会派な面も大きい。彼女の言動と失敗によって、不断の努力によってのみ、差別なき社会はかろうじて維持されるということが突きつけられるのだった。そして被差別者が同時に差別者になることもだ。
見て誰もが面白がれて、しかも何事かを考えさせられるようにエンタテインメントを作るというのは大したものである。感心したっ\(◎o◎)/!

ラストは警察物の定番としてみると、詐欺師のキツネには「やっぱり俺には性に合わねえや」と警官になるのをやめるのが性格的には合っているんじゃないのと正直思った。しかし、「他人をだますのが本性と思われているようなヤツでも正業の警官になれる」というのがテーマの趣旨だから、これはこれでいいのだろう。

見終わった後で、高校生ぐらいの女の子がニックの事を「ああいうヤツ大好き!すごいカッコイイfuji」と騒いでいたのであった。ニック、巷では大人気である。

ところで、吹替版のキャラクター一覧をたまたま見たら「芋洗坂係長 マイケル・狸山(日本版オリジナルキャラクター)」というのがあったのだけど、もちろん字幕版にはなかった。これってその国に合わせて誰か登場人(動)物を差し替えてあるのかね(^^?) 芸が細かい。

さて、監督が来日した折に「現在の肉食獣は何を食べているのか(^^?)」と某タレントが質問したらしい。監督がなんと答えたか知らないが、作中に唯一登場しない哺乳類とは何かを考えてみよう。
そして、同じディズニー系列のピクサーアニメである『アーロと少年』のワンコ同様の少年の扱いを考えると答えは自ずから明らかになるはず……。

(ーー;)

に、人間?……(>O<)ウギャーッthunder


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2016年7月 1日 (金)

聞かずに死ねるか:マイナー・コンサート編 7月版

湿気やら暑さやらでバテ気味です。

*1日(金)~3日(日)チェンバロ・フェスティバル
*2日(土)パイプオルガン特別講座 オルガンの仕組みを知る(松居直美、梅干野安未)
*3日(日)イタリア歌曲集(波多野睦美)
*7日(木)新発見!テレマンのファンタジア(品川聖)
*13日(水)テレマン パリ四重曲集(前田りり子ほか)
*17日(日)リクエストだよ!タブラトゥーラ!

サイドバーの「古楽系コンサート情報」(東京近辺、随時更新)もご覧ください。
NHK-BSで17日深夜にヘンデル「アグリッピーナ」の放映ありますよ(^^♪

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