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2016年7月23日 (土)

「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」:憎悪・友情・敗北

160723
監督:アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ
出演:クリス・エヴァンス、ロバート・ダウニー・J
米国2016年

見終わって映画館の通路の前を歩いている大学生らしき男子二人が「面白かったけど、話がよくわからなかった」「俺も分からなかった」と話していた。
私はそれを耳にして、クワーっ(`´メ)なんたること、全く今どきの若いモンはしょーもないannoyなどと苦々しく思った。
しかし、家へ帰ってネットの他の人の感想を読んだら、私もまたかなり分かってなかったことが判明したのであった……(+o+)トホホ
それで二度目も見に行きましたよdash

キャプテン・アメリカのシリーズと入れ子状態に公開されている「アベンジャーズ」の前作では、やたらと味方の数が増えてきて「なんじゃこれは?味方のインフレーションか」などと疑問であった。
が今回、その理由が分かった。アベンジャーズがアイアンマン派とキャプテン派に分裂して身内同士で闘うpunchという展開になる。そのための味方増員だったらしい。加えて、アントマン、スパイダーマン、ブラックパンサーも参加という紅白歌合戦ならぬ、豪華面子による鉄米大合戦だったのだ(!o!)

冒頭、キャプテンたちが宿敵を追って激しい戦闘がいきなり展開。しかし、結果は敵の自爆を引き起こし多数の死傷者が出る。このあたりの映像は明らかに911を想起させるものである。
他国で勝手に暴れた揚句に犠牲者を出し、結果はテロもどきとあって、世論が非難轟々状態となるのは仕方ない。
そこでアベンジャーズを国連の管理下に置くという案が出るが、かねてより水と油の対称的性格だったアイアンマンと主人公の対立が深まっていく。なぜなら、一歩誤ればウィンター・ソルジャーのように意志もなく一部の利益のために操られる存在になってしまう可能性はぬぐえないからだ。

結果、米国の正義を体現しているはずの主人公の側が放逐されてしまうのは、皮肉としか言いようがない。
仲間内でもめているうちに、さらに強大な敵が多数出現の危機が明らかにdanger と、その背後には……

……などと物語が進む間にも激しいアクションや戦闘場面が目まぐるしく挟まれて気を取られてしまい、深く考える間もないってのはこのことだいっtyphoon

大義と対立の陰で復讐と怨念が渦巻く。そのどちらにも平和はなく、まさしく現在の世界の混沌をそのまま映しているようである。
主人公とバッキーが二人してスタークをぶちのめしている図など、もはや世も末としか思えない。
かように陰鬱な展開の中で、お笑い担当fujiのアントマンとスパイダーマンの活躍シーンだけが一服の清涼剤の如きだった(^O^)
でも、原作はもっとウツ展開なんだって? 恐るべしよ。

終盤に至るまで両者の対立は解消されず、観客側も一体どちらに肩入れして見ていいのか迷ってしまう。ここには「正解」は提示されていない。
しかも、主人公の内奥はほとんど描かれず(最後にその理由が判明するのだが)スタークの方の心理や行動の方はちゃんと描写されているので、どっちが主人公なのか(^^?)も怪しく見えてしまう。
面白かったのは、ネット上で感想を書いている人も「鉄男派」と「米主将派」にキッパリ分かれていたことである。まあ、元々双方それぞれファンがいるのだが、こうもはっきりと分かれるとは、驚きだ。
と思ったら、なんと監督はわざと観客の意見が真っ二つになるように作ったのだという。なんてこったいsign03 すっかり手の内にはまっておる。

ただ、本作最大の問題点は「米主将ドヤ顔事案」である。CIAの金髪のおねーさん(←最初、誰だか思い出せなかった。前は赤毛だったよね?)と熱烈キスをした後で「どや、やったぜい」と偉そうに、車中で待機してるバッキーとファルコンを見やると、二人はあたかも中二男子の如き下卑た笑いで応じるという場面である。
正直、こりゃ「男同士の絆」案件か。ここだけは全くいただけねえ(-"-)と思った(実際、同じような感想を二、三見かけた)。
しかし二度目に見直してみると、彼女不在歴70年余?のキャプテンが嬉し恥ずかしテヘベロ(^^ゞ状態なのを、友人二人が「まあ、よかったじゃねえか」と生暖かく見守るという印象に下方修正されたのだった。
やはり一度見ただけではよく分かりません。

それから疑問に思ったのは、結末近くでジモがキャプテンに「青い瞳だと思っていたら、間近に見ると青に緑が散っている」なんてことを語りかけてたけどどういうことsign02 狂気を表わすためなのか。

結局、本作を二度見ただけでなく、これまでの「キャプテン・アメリカ」パート1&2『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』も見直してしまった。話がゴッチャになって誰がどこに出てきたのか忘れて混乱したからだ。おまけに勢いで、これまで未見だった「アイアンマン」のパート2&3まで見てしまったよ。ムムム(ーー;)いかん。

再見したら『ウルトロン』と『ウィンター・ソルジャー』の評価はかなり上がった。特に前者については「次作見に行くかはビミョー」とか書いちゃったが、それどころか是非見に行かなくてはなるまい。この終盤がド派手なアクションと破壊場面で、「なるべく市民を助けよう」などと言ってるのはなんだか似非ヒューマニズムっぽいなんて思ってたのだが、こんな展開が来るとは意外である。
とはいえ、あんまり期待し過ぎてもな……(=_=) 以前にも某シリーズでガッカリして映画館の床に倒れそうになったことがある。

「ウィンター~」の方は、最初見た時はよく覚えてなかったのだが、なんと結末近くでキャプテンはバッキーのためにこちらでも盾を捨てているのだねsweat01 なんたる友情に厚いヤツ(号泣)。スタークが、嫉妬の入り混じった恨みがましげな視線で「私も友人だった」(←あくまでも過去形)と言うのもむべなるかなだ。

それにつけても、『ズートピア』といい本作といい、米国製エンタテインメント侮りがたしflairとつくづく感じた。


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