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2016年7月16日 (土)

「ミューズパイプオルガン特別講座 オルガンの仕組みを知る」:オルガンは世につれ人につれ

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講師:松居直美、梅干野安未
会場:所沢ミューズ アークホール
2016年7月2日

前回に参加した講座ではあえなく玉砕した私であるが、内容的には今回の方が初心者向けなので勉強しようと行ってみた。
その前の週、コープマンのオルガン公演で賑わっていた同じ会場はひっそりとして人気もほとんどない。

講座の初めはオルガンの歴史から。なんと紀元前のギリシャに「水オルガン」というのがあったという。さらに「オルガン競技会」なんてのも開催されたとか。15世紀までは鍵盤は一段だけだった、昔はゲンコツで鍵盤を押していた(力勝負か!)……などなど、興味深い歴史が色々とわかった。

現代の人間にとって謎なのはやはり「ふいご手」の存在であろう。大きなオルガンは会場から離れた所で大勢で押さねばならぬ。質問タイムにはその話題が出て、ふいごのそばに譜面台があった教会もあるとのことであった。

その後は、パイプの種類について。これまたたくさんあり。木製で断面が四角のヤツもあるんですね(!o!) 知らんかった。ドイツ系、フランス系のパイプでは音色が異なるとか。
さらにレジストレーションについて解説。合間に梅干野女史の実演も入った。

質疑応答では、オルガンというのは空間・目的などによって作成時から違ってくるとのこと。オペラシティ、サントリーホール、川崎ミューザも所沢と同じドイツ系のビルダーが作製したが、やはりどこも同じではないそうである。
サントリーと比べると、所沢の方がバロック的だそうな。

小学生から「弾いている人と会場の人と同じ大きさの音に聞こえるのか」という質問が出た時は、会場から感心したようなどよめきがもれた。やはりお子様の発想は柔軟である。単純な疑問だが、演奏者しか分からない事だ。
答えはやはり、鍵盤の近くのパイプの音が大きく聞こえるとのこと。しかし、客席には鍵盤から離れた大きなパイプの方がよく聞こえるので、演奏前に色々と聞き比べなければならないとのことだった。

最後は実際に演奏台の所まで上がって見学。普段は見られない楽屋口など覗けて、そちらもなかなか興味深かった。鍵盤の両横の格子扉を開けてもらって内部のパイプも見られたのは、やはりシロートには滅多にない機会で嬉しかった。

それにしても、オルガンという楽器は作られた場所と時代によって固定されたもの、であるならドイツ教会のバロック期に作られたオルガンではフランスの近代曲を弾くのは無理ということになるわけか(?_?)
場所×時代×曲×奏者によって組み合わせは変わるから、同じ演奏はほとんど存在しないといことにもなる。むむむオルガンの世界は底深いぞ。
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所沢ミューズについて言えば、全部で三つのホールがあるが、いずれも音楽向けの音響という点から考えると満足できない(内部のデザインは美しいが)。特にアークホールは音楽用に作られたのにも関わらず今イチだ。
オルガンが良くてもホールの音響がよくない場合はどうなるのか?ということを質問してみたかった。

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コメント

パイプオルガンは作られた時と場所の音の高さを表しています。
バッハの音程は半音くらい低いのが知られるようになりました。
別な時代と場所では音の高さが違う可能性があると思います。
作曲者の思っていた高さとは違うけれど、転調したと思えばありかもしれません。

投稿: 合唱人 | 2016年7月22日 (金) 00時30分

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