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2016年8月 1日 (月)

「オマールの壁」:越えられぬなら壊してしまえ分離壁

160801
監督:ハニ・アブ・アサド
出演:アダム・バクリ
パレスチナ2013年

よく出来ている(!o!)とバンと机を叩きながら叫びたくなる一品である。
長い長いそして強固な分離壁が立ちはだかるパレスチナ、友人の家に行く(実はその妹と恋仲)ために頻繁に主人公はロープでよじ登る。まともに通ろうとすれば検問があって時間がかかり過ぎるのだ。
そんな閉塞的な状況下で友人たちとイスラエルの警備兵襲撃を企て、逮捕されてしまう。

一度逮捕されれば、釈放されても内通者になったのではないかと疑われるのが常。実際、そういう話を持ちかけられるが、彼が本当にその気なのかは観客にも分からない。

テロと銃撃戦が頻発する不穏な状態で二転、三転となる。最後に明らかになる裏切り、そして主人公が取った行動は……と、サスペンスたっぷりでスパイものやら恋愛青春ものの風味も交じり、それらがラストの一点へとキューッと絞り込まれていく。その展開は予測不可能だった。
しかも、それはパレスチナの社会状況と切り離せない。

監督は『パラダイス・ナウ』の人だったのね。いかなる困難な中にも才能がある人はいるものだと感心した。

主人公と恋人の連絡手段は今どき珍しい「紙」メール その行き来が心理状態を描写する手段ともなっている。
秘密警察の捜査官役の役者が、イヤ~ン(>_<)な感じの、ある種の強面感をよく出していた。

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