« 「アイヒマン・ショー/歴史を映した男たち」:あなたの知らないアイヒマン裁判について、こっそりお教えしよう | トップページ | 「カルテル・ランド」:君よ知るや南の国境 »

2016年8月 3日 (水)

「ヘイル、シーザー!」:映画マニア検定上級編

160803
監督:ジョエル・コーエン&イーサン・コーエン
出演:ジョシュ・ブローリン
米国2016年

この映画の予告を見て内容をこんな風に想像した。
→1950年代のハリウッド、大根だが人気だけはあるどうしようもないスター俳優(ジョーバ・クルーニー)が、大作史劇を撮影中に遁走してしまったので、映画会社に依頼された私立探偵が探し回る。往年の名作を髣髴とさせる撮影場面が随所に挟まれ、過去のスター風の役者たちが物語に絡む軽快コメディ。

だが、実際見ると違っていた(!o!) これを詐欺と言わずしてなんと言おう。いや、それとも何度も同じ手に引っかかっては騙される私が悪いのであろうか(>O<)

主人公はスターのゴシップやトラブルなどを専門に対処する部門の主任。
今も訛りがひどい西部劇専門役者を文芸映画に主演させるとか、人気女優の妊娠問題など複数の案件を抱えるが、さらに撮影所から主演男優(大根ではなく真っ当な俳優。予告でとちっていたのは理由がちゃんとある)が誘拐されるという大事件が起こる。
一方で、好条件で転職のお誘いが来て心揺れる主人公なのであった。

この複数の事件は有機的に絡み合うということは全くなく、ほとんど平行線で進んでいくだけである。
クルーニーを始め、スカーレット・ヨハンソンやチャニング・テイタムが往年のスターを想起させる役どころを嬉々として演じている。加えて名作名場面を再現させたような撮影場面も楽しい。いや、撮影場面だけでなく「地」の場面もほとんど過去の映画の引用しているように見えた。詳しいマニアなら「あの場面はあの作品」と分かるのだろう。

また「ユダヤ人」「赤狩り」「同性愛」というハリウッド定番ネタも絡んでくる。これらはギャグのネタというより、完全におちょくっているようにも思える。
ハリウッド・テンらしき脚本家たちが登場するが滑稽な印象だ。作中の描き方をそのまま受け取れば、彼らは共産主義という幻影を信じたけど、少なくとも撮影中の史劇のセリフに説得力を与えたという功績だけはある、ということになる。そ、そうなのかsweat01
それとも二重構造になっててもっと別の意味が隠されているのか?--こうなるとハードル高過ぎてもはや素人には理解できない。
あと、赤狩りの最大の弊害を歴史的に見れば、共産主義自体よりも「仲間を売る」という行為が禍根を残したことではないかねpunch

とにかく、いかに解釈しようと結局「どうも釈然としない」のまま終わってしまうのであった。
こんな映画を理解できるのは一年に二、三百本見ているような映画マニアだけなんじゃないか……。というわけで、正直あまり面白く思えなかった。

大抵の人の感想にある通り、西部劇スター役の若手(オールデン・エアエンライク)が好演だった。クリストファー・ランバートの名前がクレジットにあったのでどこに出ていたのかと思ったら、ヨハンソン扮する清純派女優のお相手の監督役だったのね。


|

« 「アイヒマン・ショー/歴史を映した男たち」:あなたの知らないアイヒマン裁判について、こっそりお教えしよう | トップページ | 「カルテル・ランド」:君よ知るや南の国境 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/82416/64008585

この記事へのトラックバック一覧です: 「ヘイル、シーザー!」:映画マニア検定上級編:

« 「アイヒマン・ショー/歴史を映した男たち」:あなたの知らないアイヒマン裁判について、こっそりお教えしよう | トップページ | 「カルテル・ランド」:君よ知るや南の国境 »