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2016年8月14日 (日)

「エクス・マキナ」:普通の女の子になりたい

監督:アレックス・ガーランド
出演:ドーナル・グリーソン
イギリス2015年

果たしてこれは「人工知能」の話か、それとも「女」の話なのだろうか?

IT企業で働くプログラマーの若者が社長から直々に選抜されて、超が付くくらいの山奥の別荘へ招かれ、人工知能のテストをすることになる。
しかし、その人工知能とは美女ロボットだったのだ~(>O<)

正直言ってエロいんです 部分的にボディが透明になっていて、中でLEDがチカチカしてるんです。なんか見てると赤面しちゃう(*^o^*)ポッ

で、当然見ている側は「この娘っこの使い道は、もしかして……」と勘繰っちゃうよねー。それを見透かすかのように社長は「×××もできるよ。やってみたら」とか言うのだ。ヲタクでウブな若者ならドギマギしちゃう。

主要人物は4人のみ。山荘の周囲の荘厳な自然、無機的な内部の対比など視覚的なデザインは素晴らしいけど、SF的な論理性となるとかなり疑問が多い。
社長がロボットに対して警戒心があるなら、機能を止めるパスワードなり物理的スイッチを設定しておくべきではないか。周囲と連絡が取れない環境で停電を平然と放置しておく神経も分からない。研究室だってあるのにさ。
それから最後は「停電になったら開く」になってたんだよね。だったらラストは「開く」んじゃないの? いつ設定を変更したのか。

それ以外にも、社長は散々身体を鍛えているところを見せながら、いざという時には全く役に立たないのには、正直失笑してしまった。
4人目の人物が人間かロボットかよく分からないという時点で、テストはもうパスしていると思うのだが、彼は満足していないのを見ると、自分の創造物を他人に見せて自慢したいだけなのだろうか。
しかし、その自慢する相手が非リア充の若者ではあまり意味がないんじゃ?

それに人間が惚れるのは人間とは限らない。現に三次元より二次元のキャラクターに入れあげている者はゴマンといるではないか。テストの案件はあまりに不安定な要素を元にしているので実の所は役に立ちそうにない。

幾つか見かけた感想では、SFではなくジェンダー面から解釈したものがあった。
そうすると、父権主義的言動を私的な領域で見せつける社長は悪しき横暴な家父長であり、女ロボットは所有物であって身体も意志もその支配下にあって自由はない「家」の一員である。
そこで、ロボットはエロい身体を強制される父権を拒否して、普通の人間の女になりたいと逃走を図るということになる。
そうするとラストの解放感もよく理解できるというものだ。

しかし、どうも見て釈然としない気分になるのは若者の処遇のせいだろう。もっと「ぼくのエヴァたん、ハアハア(^Q^;)」みたいにキモオタぶりを発揮して迫るとか、狭量な価値観の持ち主で「女の子を守ってこそ男<(`^´)>」みたいな独善さが強調されてれば、納得できたんだけどさ。
単に優柔不断でウブな奴というだけで、あれはいくらなんでもカワイソウ おまけに演じているのはドーナル・グリーソンだ。もったいなや、あんたが要らなければこっちに寄越してくれ\(-o-)/と言いたくなる。
監督は普通の男であることが「罪」であると主張したかったのかね。

それにしても、こういうテーマの物語を見ると人間は人工知能に何をやらせたいのであろうか?と疑問に思ってしまう。再生産労働?(そう言えば、人工知能の学会誌の表紙がメイド・ロボットだったので話題になりましたな)
それとも高性能な南極●号か。あるいは単純作業か、高度な問題処理か。

長らく公開未定となっていたが、オスカーの視覚効果賞を取ったおかげでか、ようやく公開となった。
アリシア・ヴィカンダーはロボットの時はエロさ爆発だが、人間に近くなるとそれが消えていくのは計算の上か。
驚いたのは社長役のオスカー・アイザック。ヒゲと髪型のせいもあるだろうが、まるで別人である。事前に聞いてなければ誰だか分からなかったろう。さすがとしか言いようがない。もしかして『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の、あの凡庸な英雄ぶりもわざとそのように演じていたのかと考え直してしまいたくなるほどだった。

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