「カルテル・ランド」:君よ知るや南の国境
暴力的衝撃的強烈 見てると脳ミソに毒素が滲みわたって行くようなドキュメンタリーである。
メキシコから米国へと国境越しにドラッグが運び込まれる。それぞれの国の麻薬戦争を戦うための自警団を取材したものだ。
米国の側の中心人物は元・アル中失業者。国境沿いの山の茂みの中を、銃を抱えて延々と移動しながら、ドラッグを運ぶ密入国者をとっ捕まえる。
その言動から差別主義者と非難されている。(が、気にしない)
メキシコ側は、一人の医者が自ら銃を取って麻薬カルテルと闘いを始める。行政や警察は全く当てにならない。
カルテルの恐ろしい所業がモロに映像で紹介され、気の弱い方は見ていられません(~_~;) そして、仲間と共に奴らが巣食う町に行っては追い払い、住民から大歓迎される。
圧倒的にメキシコ側のルポが面白い。米国の方は山中を歩きまわるだけなんで映像的にパッとしない、という理由もあるだろう。加えて、メキシコ側のリーダーとなる医者が二枚目中年男性でカリスマ性がある。
ただ、驚いたのはカメラの前で堂々と若い女の子を口説くこと。奥さん見るかも、とか考えないのだろうか。(元々かなりの女好きらしい)
やがて、段々とミイラ取りがミイラに……。自警団のメンバーが勝手に略奪したり、そこら辺の住民をつかまえて尋問するという事態になる。(なんと収容所まであるのだ)
グループは色々あって分裂してしまう。そもそもの創設者の医師は身を隠す羽目に。市民の支持も失い、結局警察の配下に入ることで決着するのだった。
ここら辺の経緯は、少し前に見た『シビル・ウォー』とそっくりなので、思わず口アングリ状態になってしまった。
何せ目の前でいきなり町中の銃撃戦が始まってしまうから恐ろしい。スペイン語が分からない監督は買い物に行くのかと、一緒に車に乗ったら全く違ったとゆう……。
淡々と自警活動を続ける米国側、思わぬ顛末となるメキシコ側、いずれにしても両国の麻薬戦争は持ちつ持たれつ、終わりはしない。
まさに事実は小説よりも映画よりも奇なり、なのであった。
一つ疑問だったのは、それぞれの自警団の資金源はどこなんだろうか? 寄付?
あれだけの活動するにはゼニが必要だと思うんだが。どちらも言及されてなかった。
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