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2016年9月22日 (木)

「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」:アカ勝てシロ勝て

160920
監督:ジェイ・ローチ
出演:ブライアン・クランストン
米国2015年

頑固で元気な父さんと健気な母さん、そして二人の子どもたち--まるで昔の米国ホームドラマのような理想の家族 しかし、その家族には恐ろしい秘密がありました。
なんと脚本家のお父さんは共産主義者だったのですう~(> <)キャーッ

でも負けない\(◎o◎)/!
ム所行って仕事を干されても、変名を使って頑張るお父さんを家族は全面バックアップ。湯船に浸かって酒を飲みながらヒスを起こしても、「デートに行くより仕事手伝え」とか言われてもじっとガマンで支えるのであった。

迫りくるはハリウッド・タカ派代表ジョン・ウェイン、元女優ヘッダ・ホッパー……しかし、才能ある者はいつしか不死鳥のように蘇るのだった。

というように、ハリウッドの赤狩りの内実というより、「ハリウッド・テン」の代表的存在D・トランボの人物像と、闘う父を助ける家族の愛情が強調されて描かれている。

そんな頑固オヤジを、TVシリーズ『ブレイキング・バッド」で人気役者となったブライアン・クランストンが魅力的に演じている。(ゴールデン・グローブやアカデミー賞でノミネートも納得)
もっとも後半ではそんな彼も「良き父」「良き友人」ではいられなくなるのだが。
しかし、最後は感動と共に米国の良心として復活するのである。

劇中には、E・G・ロビンソン、カーク・ダクラス、O・プレミンジャーなども登場。ジョン・ウェイン役はあまり似ていない。ヘレン・ミレンは憎たらしい敵役で生き生きとしている。妻はお久しぶりなダイアン・レイン。皆さん、達者な演技である。

懐かしい役者や名画が頻出するせいか、映画館は中高年で満員だった。しかも東京で一館しかやっていないのでなかなか入れなかった。
私の隣に座ったオヤヂさんは、『ローマの休日』とかカーク・ダグラスとか、登場する度に「おお」とつぶやいたり、ウンウンと頷いて、正直うるさかったですよ(=_=)

トランボを素朴な理想主義者(思想的には)として見れば、『ヘイル、シーザー!』の描き方もそれなりに正しかったのかもしれないと思えた。というか、見る順番逆だったらもっと面白かったかも。

赤狩り自体は、思想云々というより「魔女狩り」の様相を呈したのが問題だったように思える。その傷跡は後々まで残り、エリア・カザンのアカデミー名誉賞受賞時にも再燃した。
他の映画人の中には、R・アルドリッチやJ・ロージーのようにヨーロッパに逃走した者もいた。特にロージーは最後までハリウッドを許さず英国から戻らなかった。
そんな暗黒面に思い到ると、この映画もドタバタ喜劇の体裁を取った『ヘイル、シーザー!』と、構造的には変わらないのではないかと思えてくるのだ。


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