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2016年12月29日 (木)

「リトル・ボーイ 小さなボクと戦争」:汝の敵国人を愛せよ

監督:アレハンドロ・モンテベルデ
出演:ジェイコブ・サルヴァーティ
メキシコ・米国2016年

第2次大戦中、カリフォルニアの田舎町の少年の物語を、監督ほかメキシコ人のスタッフが描くという、珍しい作品である。

少年はチビのいじめられっ子で、父親は徴兵されて太平洋の前線へ送られている。父親の無事を願って、彼は司祭からこれをやれば父が生きて戻ってくる--という課題のリストを渡される。そのために、仕方なくよりによって町はずれに住む日系の中年男と仲良くしなければならなくなるのだった。

物語の設定としてはドイツ系の人物でも構わないはずだが、ここで少年のあだ名が「リトルボーイ」だというのが重要になる。原爆が絡んでくるのだ。
ヒロシマに原爆が落とされると、戦争が終わり兵士が戻ってくるぞと町中の人々に「リトルボーイ」(落とされた原子爆弾のニックネーム)と少年は声をかけられて有頂天になる。
しかし、母親から「ヒロシマにも捕虜の米軍兵士がいるのよ」と言われて今度は一転、不安におびえることになるのだった。

果たして司祭が言うようにリストを完成させて奇跡が起こり、父親は戻ってくるのだろうか

監督はノーマン・ロックウェルの世界を描きたかったそうだ。確かに映像的には完璧にその雰囲気が再現されている。しかし、一方で大人同士の嫌がらせや暴力、子どものいじめなどその陰に暗黒面も存在するのも忘れてない。

これを見て、ロックウェルの絵の中の米国というのは、非西欧圏においてはある種の理想的な憧れの世界なのだと再確認した。やはりメキシコ人の監督ならではの描き方だという気がした。

母親役のエミリー・ワトソンやハシモト役のケイリー=ヒロユキ・タガワなど、ベテラン役者の力を感じさせる。主人公の子役はあまりに巧すぎ泣いちまったぜ(T^T)
ただ、難は映画の対象が子供向けか大人向けか今一つハッキリしないことだろう。

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