「花咲く日々に生きるかぎり」:劇的なルネサンス
セーゲル・ヴァン・マールの装飾写本とフランスルネサンス音楽
演奏:高橋美千子ほか
会場:近江楽堂
2016年11月24日
ソプラノの高橋美千子と、4人のヴィオールコンソートによる新企画が発動したらしい。高橋女史というと、これまでフランス・バロック専門というイメージが強かったが、この日は同じおフランスといってもルネサンス歌曲である。
テーマの土台となったのは、ヴァン・マールというブルージュの商人が作った写本で、そこに収められたシャンソンが中心だ。
ジョスカン、セルトン、ゴンベール、ジャヌカンなどで、「千々悲しみ」などの有名な曲も歌われた。その合間にこれもよく知られた「若い娘」を元にしたヴィオール合奏が挟まれる。
歌う前にトレブル・ガンバ担当の女性が日本語による歌詞の朗読をして、これがなかなかに良かった。
高橋女史の歌は、ルネサンスというよりバロック曲のようにかなり感情の濃淡を強く示した表現だった。これなら、ルネサンス歌曲は今イチ面白くないと思う人も興味を持って聞けるだろう。
ル・ジュヌの「おお薔薇よ、花の女王」はその最たるもので、劇的な表現に引き付けられた。
リシャフォールの「私の悲しき煩いに」はデュース・メモワールのCDに入っていたので、引っ張り出して聞き直してみた。こちらはやや中世の残り香が感じられるような演奏だった。どちらがよいかは、完全に聞く者の好みだろう。
よく練られた構成で、そういう面でも優れたコンサートだったと言える。プログラムの表紙にD・ヴィスへの謝辞が書かれているが、彼が企画段階から協力していたようだ。
近江楽堂の座席は椅子を並べて、個数も配置もその時によって自由自在なのだが、この時の置き方は通路にあたる部分の幅が狭くてマイッタ(@_@;) 通路分の隙間がないと奥に行けないですよ。
それから、コンサートホールでは折しもフジコ・ヘミングのコンサートがあり、間違えてこちらの列に並ぶオバサマ方が多数。
これが初めての事ではないので、なんとか対策してほしい。
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コメント
12/16に「水越啓テノール+重岡麻衣フォルテピアノ」を近江楽堂に聴きに行きましたが、前に並んでいたオバサン(私もオバサンですが)がオピッツのリサイタルのチケット持って「これはここじゃないの?」って。
被らなければオピッツさんも聴きたかったです。でも被った時はやっぱりマイナー優先ですよね。
投稿: 愛読者1改め「くろにゃん」 | 2016年12月26日 (月) 14時09分
近江楽堂の奥にコンサートホールのガラスの扉があって、中が見えるのが一因かもです。
コンサートのかぶりは、メジャーな方がチケット売り出しが早いので、泣く泣くマイナーなのをあきらめたこともあります(T_T)
投稿: さわやか革命 | 2016年12月30日 (金) 11時28分