「彷徨える河」:闇の奥の奥の闇
監督:シーロ・ゲーラ
出演:ヤン・ベイヴート
コロンビア・ベネズエラ・アルゼンチン2015年
コロンビア映画史上初めてアカデミー賞外国語映画賞の候補になったという作品。
アマゾンの密林の中、河沿いに独り暮らすシャーマンの元へ米国人の学者が、幻の薬草を求めて訪れる。長い孤独の中で記憶さえ失ったシャーマンは、数十年前にドイツの民族学者が同じものを探して現われたのを突然思い出す。
この時代を隔てた、二つの河を遡る旅を重ねるように交互に辿っていく。
その旅は当然『闇の奥』を想起させるが、こちらの主人公は西欧人ではなく先住民側のシャーマンである。しかし、狂気と混迷の旅であることは変わらない。異文化と衝突して混乱するのは西欧人だけではないのだ。
特に不気味なのは河の途中にある、白人の僧が建てたカトリックの修道院のエピソードだ。現地の子どもたちが大勢いて、神の名のもとに狂的な支配と統率を行なっている。二度目の旅でもまだその修道院は残っているのだが……恐ろしい(>y<;)
入れ子になった構造、モノクロの映像は圧倒的、これがマジック・リアリズムというやつか(!o!) いささか長く感じたが、歴史の上に堆積した人々の悲惨と傷が余すところなく描かれている。
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