「わたしは、ダニエル・ブレイク」:ビリーブ いつか給付金を貰える日まで
監督:ケン・ローチ
出演:デイヴ・ジョーンズ
イギリス・フランス・ベルギー2016年
一旦、監督引退宣言をしながら世情に憤り復活し、ついでにこの作品でカンヌでパルムドールまで取っちゃったケン・ローチ。
見れば直球過ぎるほどの怒りの爆発であった。
発端は、持病のため医者から労働を禁じられている主人公が、役所(の委託機関?)から就労可能と判断されて補助金を止められてしまったことだ。
電話で長時間待たされてイライラしていて、担当者と言い合いになってしまったことが原因だと思われる。しかし、結果として働けないのが分かっていながら失業保険を貰うために、手書きの履歴書(パソコン出来ないので)を配って歩いて偽りの就労活動しなければならない羽目になる。
一方、同じように役所に来ていた失業中のシングルマザーと知り合う。
意図的だろうが、ここには「善人」しか登場しない。普通だったら、主人公は短気なクレーマー親爺だろうし、シングルマザーは自堕落で時として育児放棄、二人の子どもは言うこと聞かずに勝手気まま、隣人の怪しい密売屋は迷惑かけ放題。パソコンカフェの若者だって、声かけたらそんな親切に教えてくれるとは思えん。
しかし、そのような要素はこの問題には関係ない!<`ヘ´>と全て切り落としているのである。さらには労働大臣の名前を出して批判 直球勝負たる所以だ。
もっとも主人公は不屈の頑固オヤジというわけでもない。落書き事件でハイになるも、とっ捕まって警察に説教されればショボンとなってしまうところなど、笑ってしまう。
でも、ラストの一言には涙が出る。
設定やストーリーは『ティエリー・トグルドーの憂鬱』や『幸せなひとりぼっち』(←見たけど遂に感想書けず)に似ていて、どこの国も同じような問題が存在するのだなとヒシと感じた。
ケン・ローチ、まだまだ活躍しなけりゃならないようである( -o-) sigh...
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