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2017年12月

2017年12月31日 (日)

2017年を振り返……きれない

歳くってきて気力・体力・脳力が甚だしく減退。ブログ記事もはかばかしく進みませぬ。映画なんかまだ半分ぐらいしか書いてないんじゃないかな(+_+)

以下に、今年ヨカッタと思ったものを上げてみる。(順不同)

★コンサート編
「ファンダンゴ・バロック」(テンベンベ):LFJの一公演。強烈過ぎてこの後、他のラテンバロックの録音とか聞けなくなってしまった。

「聖母マリアの夕べの祈り」(コンチェルト・イタリアーノ)

「ツィマーマンのコーヒーハウス」(調布国際音楽祭):企画力勝ち

「真夏の夜のパーセルの夢」(高橋美千子ほか)

「フランス音楽の彩を楽しむ 6」

*ラ・プティット・バンド

*バルトルド・クイケン&渡邊順生


★映画編
今年は「これぞ(^^)b」というのには出会わなかった。残念であ~る。

「彷徨える河」

「午後8時の訪問者」

「メットガラ ドレスをまとった美術館」

「セールスマン」

*「はじまりへの旅」

*「残像」

*「永遠のジャンゴ」

ポン・ジュノの「オクジャ」見たかったんだけど、ネットフリックスしかやってないんじゃどうしようもない。映画館でやってくれ~(>O<)

【命がけ演技賞】「沈黙 -サイレンス-」、海辺での塚本晋也
いや~、よく死人が出なかったと……

【最凶邦題賞】「おとなの事情」
今年も色々邦題が取りざたされたが、あえてこれを選んでみた。

【最優秀悪役賞】「否定と肯定」のティモシー・スポール

【最強キャラクター賞】「カーズ/クロスロード」のスクールバスのおばさん
これはコワイ(>y<;) もう絶対にスクールバスには近寄らない

【最優秀ビンタ賞】「密偵」:日本のお家芸(?)ビンタを韓国映画にこのように描かれてしまうとはなんたることであろうか。来年は日本映画でも頑張ってビンタしてほしい。

今年は初めて、「スター・ウォーズ」の新作ロードショーに行かなかった。(「イウォークの冒険」さえロードショーで見た) 心穏やかで、精神衛生上大変によろしい。

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2017年12月24日 (日)

「ローマ法王になる日まで」:ミラクル! 信仰の道も権力次第

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監督:ダニエーレ・ルケッティ
出演:ロドリゴ・デ・ラ・セルナ
イタリア2015

現ローマ法王の半生を描く。70年代ごろのアルゼンチンの不穏な政情が背景になっていて、重くドヨーンとしている。短いとはいえ拷問場面や私刑場面が出てきて見ていてかなりつらい。収容所から釈放された女子大生の髪の毛が薄く抜け落ちてしまっているのがなんだか妙にリアルで怖かった。

「解放の神学」の神父なんかもバシバシ投獄される中、後に法王となる主人公は教会内で役職についており、なんとか現実主義的にこの状況を乗り切ろうとする。
しかし、軍政が終わった後は海外留学したり田舎に赴任したり(左遷?)という、そこら辺の事情は詳しく描かれていない。軍の後は資本家が民衆に暴力を振るうという流れもウツ展開だ

若い頃の真面目で深刻そうな印象が、後年は冗談好きなオヂサン風になるのがいささか落差が激し過ぎるような(^^?)
でも、今の法王のバックグラウンドはこうだったのかというのが片鱗でも分かって興味深かった。

昔は、南米の独裁政権のニュースを聞いてどうして民衆がそのような政治家を支持するのか理解できなかったが、今の日本が段々そっくりになっているように思えた。日本はそういう意味で「後進国」になっているのであろうよ。

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2017年12月17日 (日)

「シェイクスピアの春夏秋冬」:酒飲めばガラス瓶が鳴るなり近江楽堂

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演奏:レ・タンブル&ハルモニア・レニス
会場:近江楽堂
2017年10月31日

レ・タンブルは海外で活躍中の川久保洋子を含む三人組のアンサンブル(過去に聞いたコンサートの感想はこちら)で、日本人二人のハルモニア・レナスと組んで今回も公演を行った。
昼夜二回あったが、夜は同じオペラシティであるBCJと重なっていた。たまたま休日出勤の代休日だったので、昼の方に行けた次第である。

プログラムの趣旨は、シェイクスピアと同時代の作曲家の作品を四季に分けて演奏するというもの。さらに季節ごとにみなさんお衣装を変えたりアクセサリーを付けたりと細かいところで工夫を凝らしております。

ガンバのソロをイントロダクションにして、「芽吹きの春」や「夏の夜の夢」と続く。後者はもちろんパーセルの「妖精の女王」から舞曲を、前者にもジョンソンの「テンペスト」からの曲が含まれている。

そして「実りの秋の収穫祭」キタ~っ!(^^)! 収穫を祝って続く酔っ払いソング
レイヴンズクロフト作「酒をくれ」などを、大小さまざまなガラスの酒ビンに息を吹いたり叩いたりしつつ歌い、酔っ払い演奏を行なったのであった。
冬は寒そうな曲を選曲し最後はヒュームの曲に合わせヴァイオリンを弾きながら一同退出。アンコールでは秋でやった「喉が渇いた」を再びビンを叩きながら戻ってきて演奏した。

このように楽しく笑えるステージだった。また次回もよろしくお願いします(^人^)

狭い近江楽堂にチェンバロ2台にオルガン1台入れるということで、楽器の配置は今までに見たことがないもの。こちらもビックリだった。
鍵盤以外のリコーダー、ガンバ、ヴァイオリンは壁際に高い台を設置してそこに昇って弾くという形だ。U岡氏のブログに写真あり。
しかし、これがすごい効果あり(!o!) 冒頭のガンバ独奏の音があまりに良くて衝撃を受けるほどだった。まるで、数百万円のオーディオを完全装備の試聴室で聞いたぐらい。
会場は元々チェンバロの音が非常に良い所だが、ガンバもとはねえ。いや~、聴けてヨカッタ


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2017年12月 3日 (日)

東京芸術劇場でシェイクスピア劇二題

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ほとんど映画と古楽ネタを書くだけで精一杯な当ブログであるが(それもかなり遅れ気味)、芝居もたま~に観に行っているのだ。ただ、結局感想書く暇がなくてそのままになっている。今回は頑張って書いてみる。


「リチャード三世」
演出:シルヴィウ・プルカレーテ
出演:佐々木蔵之介

この芝居をナマで見たのは多分初めて。以前、イアン・マッケラン主演の映画は見たことはあった。
……と思っていたら、なんと劇団新感線がやったのを見ていた(!o!) すっかり忘れておったよ 自分の書いた感想読み直して、あまり出来が良くなかったのを思い出した。

今回の舞台の背景は何やら昔の精神病院のような、収容所のような陰鬱たる灰色の壁に囲まれている(血痕もついてる)。手術台は拷問室もイメージさせる。テーブルがストレッチャーだったり、王座が車椅子になったりする。
演出家がルーマニア出身ということで、過去の独裁政権下の抑圧を重ね合わせているらしい。
まことに陰々滅滅と芝居は進行する。主人公のリチャードは陰謀の限りを尽くして王位の座に着くという筋書きのはずだが、政争や謀略というよりホラー劇を見せられているようだ。
結末では、悪人リチャードに観客がいささかの哀れを感じるはずだ。しかし、この演出では最初から最後まで全く共感できるところはない。なんだか陰惨なお化け屋敷を覗いた気分になった。

面白かったのは、亡霊たちがリチャードの前に出現する場面。カラオケ大会みたいにそれぞれ歌を歌って過去の悪行を責める。役者の皆さん、ここぞとばかり美声と罵声を発揮。
それから主人公がバッキンガム公とやたらとブッチュリとキスを繰り返す。同性愛関係にあると示しているのだろうか。そうではないという意見もあるらしいが、味方でも他の奴とはしないのだからやはりそうとしか思えん。

「ほぼオールメールの日本人キャスト」であったが、その効果があったのかはよく分からない。「ほぼ」というのは代書人の役だけ渡辺美佐子がやっているのだが、その意図も不明である。
まあ、この抗争劇を男同士のド突き合いとして見なせば納得いかなくもない。

個人的には手塚とおるのアン夫人がどんなもんかと期待していたが、出番が少なくて残念だった
とはいえ、最初から最後までほとんど出ずっぱりの佐々木蔵之介を見ていると、長時間あれだけの人数の視線をステージの中心で一身に浴び続けるのはよほどタフでないとできそうにないなと思った。それ自体が快感の人もいるだろうけど。

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「オセロー」
演出:イヴォ・ヴァン・ホーヴェ
出演:トネールグループ・アムステルダム
2017年11月3日~5日

こちらはオランダの劇団によるオランダ語上演。日本語字幕付き。演出家は欧米で引っ張りだこの人とのこと。

この演出では「ムーア人」のオセローを白人が演じている。見た目が変わらないことによって、さらに差別がハッキリする--ということはあまり感じなくて、むしろ「軍隊」という狭い世界や「男女」の差というものが浮上してくるようだった。

先日の『オセロー』ではないが、男たちはかなり過剰に親密ぶりをイチャイチャと見せつける。主要人物はみな軍服を着ているので同質性が強調される。しかもやたらとその服を脱いで抱き合うのだ。

デズデモーナはそんな中で細っこくて華奢で小柄な女優さんがやっているため、対比が甚だしい。しかも衣装が避暑地の有閑マダムみたいなんである(余り趣味よくない)。
この夫婦の家は完全ガラス張りの巨大な箱になっていて、連想されるのは鳥カゴだ。確かに、彼女は小鳥のようにきれいな声で鳴いて、それを愛でられても、誰もその言葉の意味を聞こうとはしない。

前半のイアーゴーがオセローを騙そうと嘘を吹き込む場面はかなり単調で、会場を眠気虫が跳梁していたようだ。ツイッターでも「前半眠かった」という意見を幾つか見かけた。
後半になると、舞台の真ん中に位置していた巨大ガラス箱が前方にせり出してきた。この中でデズデモーナ殺しが行なわれるわけで、なんだか犯罪現場を直に覗き込んでいるような気分でドキドキする ワイドショーの再現ドラマか。まあ、モロに夫婦の寝室ですからなあ……(・.・;)

それに応えるように(?)殺人の場は2人とも下着一枚のみ--どころか、本来は全裸で演じるそうなのだ(!o!) しかし日本では「自粛」となったらしい。
ここでは、オセローは軍の認識票を首から下げたままで、その音がシャラシャラと客席に聞こえてくる。全裸で認識票だけ身に着けて妻を殺す、となればかなり衝撃度は増すだろう。オリジナル通りでないのは残念だった。そういや、デズデモーナの「全裸」死体演技もかなりなものであった。

ラストでは主人公が再び軍服をきちんと着こんでから自害し、その「大義」への忠誠ぶりが強調される。

後で、原作戯曲を確認してみたらかなりセリフが削ってあって、脇の人物も数人消えている。そのため、オセローが自分のセリフではないのを喋っていたりした。
このような仕掛けにも関わらず、全体的な印象はかなりオーソドックスな芝居というものであった。
座席の背後の方からずっと鼻をすする音が聞こえていて、風邪をひいてるのかと思ったら、泣いているのだと分かった。泣く この演出で(@_@;)泣けるか?
だが、泣いたという人は結構いたらしい。

それだったら、むしろ誇張された人情劇として演じるべき芝居ではないだろうか。今思えば、新感線の「港町純情オセロ」みたいなのが一番ふさわしいのかも。
それと、劇中で使われている「柳の唄」を野々下由香里の歌で聞いた時に号泣ものだったのを思い出した。今回の公演では、デズデモーナが歌詞を朗読しただけだったが。

私は初日に見たが、この日だけ演出家がカーテンコールに登場した。来日して12時間ぐらいしか滞在しなかったそうだ。それほど多忙な人らしい。


さて、シェイクスピアの時代、一般市民は平土間で立って観ていたって本当か? どの作品もオリジナルに忠実に演じれば4時間はザラになりそうである。倒れそう~


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聞かずに死ねるか:マイナー・コンサート編 12月版

ネットの接続が最近不調でなかなか更新できませんでした。

*4日(月)バッハ クラヴィーアとヴァイオリンのためのソナタ全曲演奏会(阿部千春&大井浩明):近江楽堂
*6日(水)ピエール・アンタイ&スキップ・センペ2台チェンバロの夕:浜離宮朝日ホール ♪8日に武蔵野公演あり
*16日(土)木の器クリスマスコンサート2017(鈴木美紀子ほか):近江楽堂
*22日(金)真夜中のミサ(東京古楽団):三鷹市芸術文化センター
*24日(日)バロックの花束(ムジカ・グラツィア):近江楽堂
*29日(金)バッハ ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ(フランソワ・ゲリエ&天野寿彦):近江楽堂

北とぴあ音楽祭のグルック「オルフェオとエウリディーチェ」もありますね(^^)
これ以外にはサイドバーの「古楽系コンサート情報」をご覧ください。

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