「エル ELLE」:スキャンダラス・ウーマン 女、外に出れば7人のヘンタイあり
監督:ポール・ヴァーホーヴェン
出演:イザベル・ユペール
フランス2016年
予告ではサスペンス・スリラーのように宣伝していたが、実際見ると全く違った。私が思い浮かべたのは『大人の事情』のような、人間のバカバカしさを描いた喜劇であった。
アダルトゲーム会社を経営するヒロインは或る夜、謎の侵入者に自宅で襲われる。しかし彼女は警察に届け出たりせず、平然とそのまま息子に会い、友人たちに被害を告げて反応を見る。自分で犯人を探し出そうと画策するのであった。
もっとも、彼女は子供の頃に父親の犯した犯罪に巻き込まれた過去があるので、「被害者」にはなりたくないということで警察沙汰を敬遠したかったのかもしれない。
ここで、周囲の男たち(容疑者候補も含む)がロクでもない奴ばかりなのが描かれる。元夫、親友の夫、息子、母の愛人、若い社員たち……。
もっとも、女の方はマトモかというと、そんなことはない。これまたどうしようもないのである。母親、息子の嫁、親友、母の愛人の浮気相手……。極めつけは隣人の妻だろう。彼女の最後の発言には、観客全員があきれるはずである。
こんな変人たちに比べたら、確かにヒロインは言動が過激とはいえ、まだマシかも知れない--などと思えてくる。
あと宗教に対する皮肉はかなりなもん(^_^メ)
ヴァーホーヴェンの演出は一貫して登場人物の心理を描かず、ただあきれた行状をそっけなくスクリーンに映し出すのみ。
ここから得られる教訓は--ないっ 苦笑するだけである。
| 固定リンク | 0