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2018年4月20日 (金)

「音楽と美術の幸せな結婚 1」:哲学者か英雄か

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大塚直哉レクチャー・コンサート・シリーズ
音楽と絵画が映し出す栄光の17世紀スペイン:「プラド美術館展」の名画と音楽
会場:よみうり大手町ホール
2018年4月13日

大塚直哉が美術展に合わせて3回のレクチャー・コンサートを行う第1回め。会場からして当然、読売新聞社が主催に入っている展覧会が対象だが、この日は「プラド美術館展 ベラスケスの絵画と栄光」でベラスケスが7作品展示ということで話題になっているものである。

しかも演奏のゲストは波多野睦美、美術サイドは「怖い絵」の中野京子という豪華布陣だ。こりゃ満員御礼かっと思ったら、空席がチラホラあったのはやや意外だった。

ベラスケスの同時代の作曲家の作品を3曲、大塚氏がオルガンとヴァージナルで演奏した後、ステージ背後のスライドを使用して中野女史が15分間のレクチャーを行なった(演奏中もスライドは上映されていた)。
ベラスケスと、同じ時代に英国にわたって活躍したアンソニー・ヴァン・ダイクを比較。二人とも仕えた王は統治に関しては無能だったが、芸術の審美眼はあった……など共通点や、作風の相違など面白い話が聞けた。

曲の方では、明るいと思われがちなスペインの暗い美しさを聞かせるスカルラッティのソナタ、メディオ・レジストロというオルガンの左右で異なるという音色で演奏されたアラウホ(初めて聞いた!)が面白かった。

その後は波多野睦美が登場して、絵画に合わせた曲を歌った。彼女の歌を聞くのは久し振りだったが、3曲目のフレスコバルディの宗教曲が圧巻の迫力だった。

後半の最初は3人でトークセッション。ヴェチェッリオという画家の「音楽にくつろぐヴィーナス」という絵で、オルガン弾きが横たわる女神のどこを見ているかという話題で爆笑になった。大塚氏は絵と同じオルガンの鍵盤を押さえてみせたり(●^o^●)
中野女史によるとヴィーナスは人間の眼には見えないはずなので、このオルガン奏者は超能力者ではと考察していた。しかし私は、彼には女神が見えてなくて、寝台の上にたまたま金か宝石が落ちてるのを凝視していたという仮説を立てたい。

その後は再び演奏へ。ヴィーナスにちなんだパーセルの「美しい島」は伴奏がオルガンだったが、なんだか印象がかなり違う。チェンバロの方が違和感なしだったかも。
ラストはストロッツィの「恋するヘラクレイトス」だった。これも長めの曲でやはり波多野女史の歌唱はイケイケと押し寄せるような迫力で聞かせた。
トークの時に出た話題だが、「ヘラクレイトス」とは神話の英雄ではなくて哲学者なんだそうだ。
えええーっ\(-o-)/あたしゃ今までヘラクレスと勘違いしたまま聞いてましたよ。お恥ずかしい~

4000円の元はバッチリ取れたレクチャー・コンサートであった。次回は「ルーヴル美術館展」をネタにナオヤ氏独奏によるフランス・チェンバロ曲をたっぷり聞けるもよう。おまけにゲストはなんとヤマザキマリ これは必聴だろう。


さて、私はこのホールは初めて行ったのだが、新しくて音響もよく、おまけに全座席の背中に小テーブルが引きだせる(ライトまで付いている!)サービス付きだ。
新聞社ビルに付属したホールというと、朝日新聞社の隣の浜離宮朝日ホールが思い浮かぶんだけど、対抗してるのかな(^^?) 収容人数も似たような感じだし。ここでも朝読対決が火花を散らす
それと、地下鉄の出口と直結がウリらしいので私は丸ノ内線のホームから行ったのだが、ウネウネと通路を歩き、その出口までなかなか行き着かない(@_@;) 帰りは地上から行ってみたら、なんと1ブロック直線歩いただけで丸ノ内線まで行けてしまった。なんなのよ
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