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2018年5月15日 (火)

TVドラマシリーズ「ウエストワールド」シーズン1:アンドロイドは永遠の愛を夢見るか

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遅まきながら米国のドラマ「ウエストワールド」シーズン1全10話を見た(レンタルDVD)。日本ではスターチャンネルで放映して、その後ネットでも見られるようである。
感想は一言で言えば、「いや~、面白いbomb」であった。

原作はマイケル・クライトンだが、同じなのは設定ぐらいで恐らくかなり変えているに違いない。
大昔ユル・ブリンナー主演で映画化されたのを見た。それはほとんど後年の「ジュラシック・パーク」に似たようなものだった。つまり精巧なロボットによる西部劇そのままの遊園地があって、ある日トラブルからロボットが人間を……というような話。(中学生ぐらいに見たので記憶あやふやだが)

このシリーズではアンドロイドはもっとグレードアップされた存在で、管理者が設定した西部劇風の複数のシナリオに沿って毎日繰り返し生活し、それに客の人間が入ってきて新たに展開するという仕組みである。その世界の自然は広大で美しいが、エログロ暴力なんでもし放題の良い子には見せられねえ設定もあれば、ご家族向けの健全な設定もあり、人間の現実の世界とは異なりなんでも可能なのである。
そしてアンドロイド側はそのループを毎日ただ繰り返す。

というわけで、画面には正視に耐えぬ(といっても見ちゃうわけだが)エロや残虐行為が溢れるし、毎夜回収されて補修されるアンドロイドたちは一糸まとわぬ姿で、ボカシが至る所に(日本では)頻出するのであった。ここら辺は、制作がさすがHBOというところだろう。

そんな「世界」の中を徘徊し、さらに輪をかけて残虐な行為をしまくる謎の黒服の男が出没する。エド・ハリス演じる男は最初から人間であることが明示されるが、その意図は不明。さらに、その黒ずくめの姿は過去の映画版のユル・ブリンナーを想起させるのであった。

一方でウエストワールドの創始者フォード(アンソニー・ホプキンスTVドラマ初出演だそうな)がいて、数十年に渡り管理してきた。その姿は研究者のようであり創造主のようでもあり、経営側の「役員会」とは対立している。彼も本心を見せない謎な部分が多い。

やがて、見ている側にはよく分からない瑕疵のような出来事が続いていく。それがあらかじめ管理され仕組まれたことなのか、それとも本当にアクシデントなのか、見ている側には分からない。
「あの事案は管理センターが把握しているのに、こっちは気付かないの?(このドラマ)いい加減じゃない?」とか思って見ていると大変なことに……(>y<;)

そして最終回はええーっ(!o!)ウソだ~~sign03という驚異の事実が判明。こいつはやられました。
思えば、過去のエピソードに少しずつ伏線を出しているんだけど、そんなの分かりませんわな。壮大なうっちゃりを食わされた気分。
謎を羅列しっ放しで「次シーズンに続く」で終了してしまうドラマが多い中、こいつは見事であった。

ただ、複数の指摘があることだけど、感情移入できる登場人物がいないということと、意識や記憶といったことに関して哲学問答のようなものが行なわれる、というのは見る人を選ぶかもしれない。(あと、エログロ苦手な人も)
理屈っぽいところや、似たような場面の意図的な反復は、往年の『プリズナーNo.6』を思い起こさせる。

それと、もう一つ驚くのは役者の皆さんの演技すごいなあということ(ただし若干1名を除く)。身体の動作、メンタルの表現いずれも実力発揮しまくっている。
個人的にはセンターの管理職の一人テレサ役のシセ・バベット・クヌッセンに特に感心。ある場面で、恐怖と困惑がモザイク状のようになって表情に浮かんでは消えるのを見て、神技shineと思ったほど。
もちろん、主演と言えるエヴァン・レイチェル・ウッドも迫力である。

それにしても皮肉なのは人間というのは、ある意味いい加減でどんどん変化していくのに、アンドロイドたちは変わらないことである。永遠の愛を何の疑いもなく語れるのは、彼らだけなのだ。

さて、日本でも5月の末からスターチャンネルでシーズン2が放映されるとのこと。一体、このテンションで話が続けられるのか。そうなったらすごいことだが。(私はレンタルDVDが出るまで見られん)

なお、この後にはネタバレ追加感想があります。

★ネタバレ注意★


以下は完全ネタバレですdanger


自己責任でお読みくだせえ(^^)


*最終回で黒服男に少し同情してしまった……sweat01
あの変貌ぶりは驚くばかりだが、惚れた女に35年間、毎回知らない顔をされたら仕方ないのか。

*二つの時間軸が混ざっていることは、ウィリアムへローガンがドロレスの腹を割いて機械部分(最新時点のアンドロイドならそんなのはない)を見せた時点で分かるはずなのだが、1回目ぐらいに彼女を「外見では分からないが、初期のタイプだ」という説明をしているシーンがあって騙されてしまう。

*フォードは旧約聖書の神に似ている。アンドロイドたちに苦痛を与え続けることが意識を与える、とか発言していなかったか。まるで、わざと人間に苦難を与えて信仰を試す神のようだ。
しかも、彼らを通して人間も操っているように思える。テレサがそうだが、あとウィリアムがさらに追加して所有権を買ったのもドロレスのせいだ(そんな発言あり)。わざと買うように仕向けた?

*で、さらにイヤなのは、探し求める真実(ワイアット)が目の前にあるのに気付かないウィリアムを、フォードは全て知っていながら冷笑的にずっと観察していたわけである。イヤ過ぎである。

*ラストシーンの展開を、既に第6話目でジオラマを使ってフォードが考えている場面を見つけた人がいるらしくて感心した。私はその場面を「技術が進んでいる未来なのに、コンピューターじゃなくてジオラマでやってるのか、懐古趣味のオヤジなのかね」としか思わなかった(^^;

*視聴者から見ていちばんおかしいのは、フォードがジェフリー・ライト扮するバーナードと会話している場面である。第三者がいない二人きりの場面でも、自分が製作したアンドロイドなのにまるで何も知らない人間に対するように話している。
しかし、これもフォードが壊れかけている初期のアンドロイド(酒場にいる呑兵衛?)とあえて普通に会話しているのを見せて、彼はそういう対話を楽しむような人間なのだという布石をあらかじめ打っているのだ。

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