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2018年6月 7日 (木)

「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」:ロンドン・アンダーグラウンド 首相はつらいよ

180607 監督:ジョー・ライト
出演:ゲイリー・オールドマン
イギリス2017年

『ダンケルク』は未見だし、英国近現代史にも疎い私σ(^^)なので、アカデミー主演男優賞とメイクアップ&ヘアスタイリング賞のお手並みを拝見しに行きましたよ。

チャーチルの実物はよく知らねど、別人のようにふくれあがったゲイリー・オールドマンが、押しの一手で困難な時期の指導者を熱演する。まさに一見の価値はあり。

党内のパワーバランスで首相になったものの、与党内でも嫌われ者につき議会運営に苦闘する。国王ともうまく行っていない。
しかし一方でナチスドイツの脅威が迫るのであった。和平か抗戦か その揺れる数か月(首相就任からは一カ月間)に的を絞って描く。

ストーリーだけだとオヤジな政治家たちが暗い議事堂や地下の作戦本部でウロウロするのに終始してしまうのを、秘書や奥さんなどの女性からの視線や戦場場面を入れて単調さを防いでいる。
英国の議場って今でもあんな狭苦しいの? あれじゃ日本みたいに居眠りなんかしてたら一発でバレますわな(^○^)

ただ、後半の展開はやや強引過ぎではとも感じた。
チャーチルがロンドンの地下鉄に乗って市民の声に直に触れ(このことはフィクションらしい)、それに勇気づけられ声を引用しつつ、抗戦の演説を熱くブチ上げる。大変、威勢よく意気上がる展開であるが、地下鉄で職工風の男がドイツが攻めて来たら「棒を持ってでも戦う」と断言する場面を見て、「そういや昔、竹ヤリで首都決戦」などと言って負けた国があったなあなどと思い出してしまうと、その熱気も冷めるというものだ。
まあ、その後ロンドンも空襲を受けるのだが……。

勝てば官軍、勝てば竹ヤリも美談になるというわけか。
そこら辺りは深く考えずに、重厚味あふれるセットや照明、撮影、役者の演技を楽しむべき作品かも知れない。

公開後、インドの評論家(?)が「チャーチルはこんなエエ奴じゃないわい」と批判した話が伝わってきた。それに対して「2時間の映画にテーマと直接関係ない部分まで入れられる訳がない」という反論があった。
しかし、歴史とは過去のものではなく現在の視点に他ならず、実話に基づいた歴史映画の二時間の中に何を取捨選択するかという事自体が、既に「政治」の表出に他ならない。

ということで、インド側からは是非、極悪支配者チャーチルに一矢報いる『バーフバリ』風活劇を作っていただきたい。

ところで、終盤、チャーチルの奥さんが軍服着て写真を撮る時に憂鬱そうな顔だったのは何故? その後何もなくて終わっちゃったんだけど(?_?)

 

 

 

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