「音楽と美術の幸せな結婚 2」:音は人なり
大塚直哉レクチャー・コンサート・シリーズ
肖像を刻む-視覚と聴覚によるポートレート:「ルーヴル美術館展」の名画と音楽
会場:よみうり大手町ホール
2018年8月6日
美術展にちなんだ大塚直哉のレクチャーコンサート、2回目はルーヴル美術館展である。(1回目はこちら)
ゲストはなんとマンガ家ヤマザキマリですよ(!o!)
今回は主にフランスのチェンバロ独奏曲から人物を描いたものを演奏し、その合間に二人がトークをするという構成である。
実際の展覧会と同じ区分けで、男の肖像、芸術家、女……というようになっている。
冒頭はクープランで、クラヴサン曲集より「ラファエル」(ラファエロのことだと推測されている)が演奏されると、ヤマザキマリがラファエロについてここぞとばかり熱弁を振るうという次第。
ラファエロ自身もすぐれた肖像画家であり、一方クープランは様々な人々の肖像を音楽で描いた(大塚氏談)という共通点があった。
続いては、フォルクレとクープランがそれぞれに描いて作曲したオルレアン公(ただし曲調は正反対)と絵画における彼を比べる。
また、肖像には死者の思い出や記録という面もあるということで、フローベルガーが捧げたフェルディナント4世とブランロシェ氏(例の階段転落事件の人)への哀悼曲も。
当然、トークではヤマザキマリは猛烈に喋り倒していた。これに対抗するにはチェンバロ一台では到底足りぬ。バロックトランペット3本呼べ~と言いたいぐらい。
話題は時間が足りないぐらいにあちこち飛び、大塚氏も日頃の上品さからは想像できぬギャハハハ笑い(^O^)を連発していた。
ラストは人間ならぬ神様の「ジュピター」(フォルクレ作)で、これが驚くほどに速い演奏だった。それまでのギャハハハ笑いを返上、ビシッと決めたのてある。
肖像画を描かせる時は強調したいものを一緒に描くとのこと。例えば、指輪とか衣服とか……ということでアンコールはクープランの肖像画で彼が持っている楽譜の曲だった。
ヤマザキマリは舞台向け風(?)のドレスを着て現われたのだが、一時間ぐらい前に初めて顔合わせした時とあまりに差があったそうで(かなりカジュアルな格好をしていたらしい)、大塚氏がマジに驚いている様子が伝わってきた。そんなにスゴイ落差だったんかい
この日の使用チェンバロはなんと1月に近江楽堂で聞いたモンキー・チェンバロであった。レクチャー・コンサートの趣旨にピッタリである。ただ、音はやはり近江楽堂で聞いた方がずっといいけど……。
休憩時に黄金色の脚をよくよく観察したら、ヒヅメが割れてなかったんで馬の脚らしい。
それから、大塚氏がコソッと言ったので目立たなかったが、女性像のところで弾いたクープランの「フランスのフォリア、または色とりどりのドミノ」は全12曲並べるとタイトルが女性の特徴を年齢ごとを順番に表わしているらしい。それで、鈴木雅明は「これは女の一生だな」と言って、コンサートの時に全く原タイトルにはそんなことは入っていないのに、プログラムに「女の一生」と書いてしまったそうである。こりゃ、タイトル詐称じゃないの\(◎o◎)/!
さて、ヤマザキマリがゲストにも関わらず、後ろの方の座席は結構空いていたとのこと。勿体ない。第3回目は是非満杯にしてほしい。
でも「ブリューゲル展」がテーマだから、そうするとルネサンス音楽になるのかな? ゲストは山田五郎が予定されているらしい。(あくまでも予定)
追記:次回のゲスト、山田五郎に決定したようです。演奏家の方は西谷尚己とR・ダンクザークミュラー。
| 固定リンク | 0