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2018年9月27日 (木)

「秘めたる悲しみ ド・ラ・リューの世俗音楽」:美しき非モテな歌

180926
ピエール・ド・ラ・リュー没後500年記念コンサート
演奏:相川郁子ほか
会場:近江楽堂
2018年9月7日

今年はクープラン祭りと思っていたら、なんとルネサンス期のピエール・ド・ラ・リューも没後500年ということだった。
この作曲家は2枚ぐらいCD持ってたかなー、などと思いつつ夜の回の方へ行った。

編成は歌手4人はいいとしても、ルネサンスフルート4、コルネット(ツィンク)、サックバット(トロンボーン)、ガンバ各1という珍しい……というか、今まで聞いたことのない組合せだった。

タイトルはド・ラ・リューとなっているが、もう一人の主人公はネーデルランド総督マルグリット・ドートリッシュ(1480~1530年)という人物。彼女は仏王や領主と三回結婚しては死別という波乱万丈の人生で、大河ドラマのネタが尽きたらぜひ(^.^)bとNHKに推薦したいぐらい。
ド・ラ・リューは晩年に彼女に仕えた。で、彼女が編纂した豪華楽譜集の中からこの作曲家の作品を演奏するという趣向である。
曲の合間には彼よりもドートリッシュの生涯の方を詳しく解説するという熱の入り方。もしかしてみなさん歴女(^^?)

演奏の方は声楽に器楽オンリーの曲もあり。編成も様々である。
歌手とフルートそれぞれ3にガンバ、ツィンク、コルネットという曲でも、滑らかに溶け合い、聞いててウットリする。鏑木綾を始めとする歌手陣も充実。しかし、楽器によって音量の差があるのはアンサンブルとして大変そうだった。
意図的に世俗曲を選んだということなのだが、恋愛曲というより何やら暗~く世をはかなむような内容が多い。

「でも、ああ、私は逃れられない 悲しみに破壊されてしまう」
「見捨てられ、ひとり、喜びもなく いずれ私は死ぬのだから」
「恋人というものが語られる時 私はそこに含まれておらず」

といった具合で、息も絶え絶えな様子。三番目なんか500年前にも非モテを嘆く歌があったのかい(!o!)と思っちゃう。
しかし、そんな内容にもかかわらずいずれも華麗にして美しい曲なのであった。

楽器の解説も合間にあった。サクバットはオルガンが普及する前は教会で中心的に使われていたとか、ガンバはこの時代に存在していたかは怪しいなど。

なかなかルネサンス時の音楽を聞ける機会は多くないので、聞けて満足 今年の末までクープランだけでなくド・ラ・リュー押しでお願いします。


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