ブルース・コバーンが9月末の週末に来日すると知ったのは、ピーター・バラカンのFM番組でだった。しかも、チケット発売から一か月も経ってからである。放送時にリアルタイムで聞けずに録音しといたのを後で聞いたために後れを取ってしまったのだ(^^ゞ。
彼の来日はもうないと思っていたのでビックリした。70歳過ぎという年齢もあるが、そもそも彼のアルバムは多分10年以上は国内盤が出ていない。それより前でも出たり出なかったりという状態(もちろん輸入盤では入手できた)。知名度は低いだろう。
ブルース・コバーンはニール・ヤングやジョニ・ミッチェル同様カナダ出身のシンガーソングライターで、やはりギターの名手である。キャリア初期の70年代はアコースティック系フォーク&ブルースで、日本ではこの頃の人気が高いようだ。
その後、さらにロック、ジャズ、民族音楽もまじえたサウンドに変化。歌詞も社会的な意味を含んだものが多くなる。
「くたばれ!汚いIMF」みたいな歌もあったし、チェルノブイリや911を題材にしたものもあった。一番有名なのは「イフ・アイ・ハド・ア・ロケット・ランチャー」だろう。グアテマラの紛争で米国の支援を受けた当時の政府軍が民衆を殺す光景に「この手にロケットランチャーがあったら、奴らに思い知らせてやれるのに」という激越な歌である。
ビデオクリップの出初めの時代にこの曲のビデオを見て、私は初めて彼の存在を知ったのだった。
ただ、メッセージだけでなくそこに抒情性が常に存在するのが特色だろう。
彼は25年前(もうそんなに昔なのか)にも来日していた。ニール・ヤングのコンサートの前座としてである。もちろん、私はチケットを買った。多くの人はニール・ヤング目当てだろうが、私は彼が目的だった。
しかしあろうことかなんとニール・ヤングが公演ドタキャン(!o!)で中。 当然、ブルース・コバーンの出番なし。私はガッカリした。
さらにガッカリだったのは、彼は実は来日して小さなホールで単独ライブをやっていたのた! だが、それを知ったのはずっと後になってからだった。当時はネットのネの字も存在しない時代。知る由もない。
というわけで、25年前の雪辱戦になる。で、これだけなら即買い!なのだが、問題は会場がビルボードライブ東京だということだ。私はライブハウスというと、大昔に狭くて小汚くてオールスタンディングのやつしか行ったことがない。同じ「ライブハウス」とはいえ、広くて優雅に食事できるクラブ風の店など未体験である。
しかも、音が一番良くてミュージャンに近いという自由席は、テーブル席で1時間も前に行って順番取ってフーズやドリンクを注文しなければならない。複数ならいいが一人で行くと、当然相席になるとゆう……エーッ
ハードルが高過ぎ。散々悩んだ末に、二番目に音が良くてミュージシャンを正面から見られるというカウンター席にしようと決めた。しかし、これが結構お値段が高い--というか、お一人様の料金にすると多分一番割高である。しかもやはりフード注文が原則だ。
発売一か月後とはいえ、さすが?最新アルバムも国内発売なしということだけあって、日曜の遅い方の回の真正面真ん中近くの座席が取れた。ヤッタネ(^.^)vと思った。
しかし、直前になって台風が来襲である。天気予報で日曜の夜に関東も直撃と出ていたので、(またもや)散々悩んだ末に、日曜の7時半の回を4時半に変更してもらうことにした。加えて、万が一(日曜がダメになった時)のために土曜の夜も急きょ行くことにした(ただし一番安い席)。
これを店に電話して変更したのが、なんと土曜の昼間(@_@;) 優柔不断であるよ。
グズグズ迷っていた原因はもう一つ、土曜の夜は芝居に行くつもりでチケットを買っていたからである。結局、芝居は捨てることになった、トホホ。
以下は土曜(29日)のステージの感想である。
座席はカジュアルエリアという一番安いカウンター席で、ワンドリンク付き。直前なので真正面は取れず、音が良くない上に距離が遠いステージ真横の奥である。行ってみると、実際狭くてまさに隅に押し込められているという感じ。ここに座っている人はほとんど一人で来ているようすだった。
見回すと、前方の2人用ボックスシートに一人で座っている人がいた。なるほど、これならスペースが広い(値段は高いが)。
唯一良かったのは、ブルースのギター弾いている右手がダイレクトに見られたことだろう。代わりに顔の表情はあまりよく見えず、頭頂部を眺める羽目に……(注-彼の髪の毛はフサフサしていましたよ) 会場の音は、低音が音圧高いだけでなんかモコモコした印象である。(壁の反響?)
演奏はブルース一人の弾き語りで、2009年の2枚組ライブ・アルバムと同じ形式だった。このアルバムがまた素晴らしい出来で、私は一時期毎日のように聞いていたものだ。
CDジャケットの写真だとステージにギターが5本以上あるが、今回は3本で、しかもそのうちの一つはウクレレぐらいの(^^?)大きさ。民族楽器のチャランゴというらしい。
登場した彼は背中が猫背っぽく曲がっていて歩き方もゆっくり。動いている姿は若い頃のビデオクリップしか知らないので、正直おじーさんぽくなったなあと思った。
しかし、歌声は極めて明晰で力強い。どの曲だったかド忘れてしまったが、あまりに声のパワーが直裁にこちらへ届いてきて、それだけで感動してしまった。
ギターは右手を見てても、素人には「あれっ、どうやってあの音出してんの?」と思うほどだった。名ギタリストぶりを発揮。
オープニングは最新アルバムからで、アンコールは70年代の初期アルバムからだった。
個人的には大好きな「ストレンジ・ウォーターズ」と名曲「~ロケット・ランチャー」が聞けてよかった。もう涙がジワ~ッと出てきました
それと前回の来日時に作った「トーキョー」も披露してくれた(歌の内容は、騒然とした都市にビックリみたいな感じか)。
席は悪いが、聞けて見れて満足。よし、明日は正面から見るぞー。曲も幾つか変えてやってくれるだろう。
--と思って帰宅したのだがね(ーー;)
日曜日の回は、結局キャンセルしてしまった。6時ごろ終了だから天気予報とにらめっこして、天候が荒れる前でなんとか大丈夫だろうと思ったのだ。 ところが、なんとJRが早じまいするというニュースが!
私鉄もいつ追随するかわからない。そんな状態ではおちおち音楽も聞いていられん。何故よりによって我が今年最大のイベントを台風が直撃するのだ
泣く(/_;)
会場側にとって不運だったのは、本日開催をアナウンスした直後にJR運休予告が流れたことだろう。ただ、JR公式サイトよりNHKのニュースの方が早いというのはどういうことよ?
店に電話かけたが他にもキャンセルが相次いだらしくなかなか繋がらなかった。 実際には早い回への変更が多かったらしい。都心に住んでいるならいいけど県民にはリスクが高いのよ。
もうガックリである(=_=)
実際には私鉄は結構遅くまで走っていたようで、6時終了ならまだ風雨も大したことなかったから充分行けたはずだった。電車なくなるなんて知らずにディズニーランドで遊んでいた人たちがいたとニュースでやっていたが、どうせならそのぐらい図太くならないといかんのう。
などと、今度は後悔がドッと押し寄せてきたのであった(T^T)クーッ
また来てほしいけど無理じゃろなあ……でもウィリー・ネルソンは80代で現役だ
中川五郎による公演レポート
オフィシャル・サイト
トップページ下方にライブ映像あり。しかし、100万回映像を見ても1回の生のライブにはかないません(v_v)
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