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2018年11月28日 (水)

「1987、ある闘いの真実」:倒れざる死者

監督:チャン・ジュナン
出演:キム・ユンソク、ハ・ジョンウ
韓国2017年

軍事政権時代の韓国で起こった事件に基づくゴリゴリの社会派映画。民主化運動に関わっていた学生が逮捕されて拷問死する。捕えた側の対共捜査所長は隠蔽しようとするが、徐々に真相が明らかにされる。
制作は前政権下で密かに始動したそうだが、役者は大物やスターが出演している。非常に見ごたえあり。

完全に群像劇で、検事、所長、捜査員、看守、その姪の学生、記者……など、その事件に巻き込まれていく人々の動きを並行して描いている。
執念といってもいいほどの意志で真相を明らかにしようとする検事や記者がいれば、その正反対の極には脱北してきて、共産主義者を決して許さない所長のような人物もいる。たった数十年前にこれほどの憎悪があったのに、南北和解なんて可能なのかと思ってしまうほどだ。

一方、その両極の間で翻弄される人々もいる。「実行犯」として収監される捜査員もある意味そうである。一方、揺れ動く状況の中で民主化運動へと向かっていく者を象徴するように描かれているのが、女子学生のヨニだ。
彼女について、映画評論家のM山氏が「イケメンの学生運動家に釣られて運動に参加した」という意味の発言したそうだが、映画をちゃんと見ていればそれが完全に間違っていることは明らかだろう。こんないい加減なこと言うと、他の映画についての解釈も疑わしくなっちゃうね。

念のため監督の発言を引用しておく。
「彼女は多くの葛藤を経て変化していくのですが、他の人によって変えられたのではなく、自分で考え、変わっていった。それが重要なのだと思います」(「ビッグイシュー」誌341号より)

ラストまで見ると、その力技に思わず感動の涙が流れるのであった(T_T)
なお、恐ろしい拷問場面が複数回出てくるのでその手の映像が苦手な人は避けた方がいいかも。あと、作中にはないが女子に対してはもっと恐ろしい拷問をやったらしい(>O<)ウギャー

 

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