「響きの森」:酸欠に注意
演奏:戸田薫、平尾雅子、平井み帆
会場:旧古河庭園・洋館
2018年11月13日
毎年この時期になると、北とぴあ国際音楽祭関連で旧古河庭園でコンサートが行なわれる。今年はブクステフーデだった。
彼の「ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのための7つのソナタ」作品1と2からが演目である。途中に平井み帆による同じ作者のチェンバロ・ソロ曲が入った。
ブクステフーデは北ドイツ出身、中・南独地方では聞かれない(ありえない?)名前らしい。同じ北独でガンバを数多く作った製作者一家と近い家系で、そのせいか珍しいガンバの入ったソナタを作曲したのかも……などというウンチク話が平尾雅子から披露され、一同フムフムと聞き入ったのであった。
さらに平尾氏の使用するガンバは1669年作のもので、後に一度チェロに直したものを解体してガンバに戻したものだそうな。
以前からブクステフーデのソナタはちょっとひねくれているというか素直でないという部分があると感じていたが、平井氏が似たようなことを語ったので激しく同意であった。
ある時は躍動的、またある時は激情型、その「変」な部分も含めて3人は鋭く熱のこもった演奏を聞かせた。
一方で、チェンバロ曲は一切ひねくれた部分のない素直な作風なのだから不思議である。
彼の肖像画についても面白い話があった。←この絵画の左側でガンバを弾いているのがブクステフーデ、隣で鍵盤弾いているのがラインケンということになっているのだが、平尾氏はそれはどうも怪しい、鍵盤を挟んで反対側にいる男の方がブクステフーデではないかと疑っているそうな。
会場は洋館の一室で、あまり広くない部屋に90人近くがギュウ詰め。パイプ椅子は旧型で幅が狭い。換気設備もないようだから室温が上がって部屋内の空気も悪くなってしまった。なんだか水面で口をパクパクしている池のコイになった気分
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