「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」:ノー・モア・チャンス 試験戦線異状あり
監督:ナタウット・プーンピリヤ
出演:チュティモン・ジョンジャルーンスックジン
タイ2017年
珍しやタイ製映画である。もっともこの少し前に、象を連れて歩く男の映画(やはりタイ作品)をやっていたので、そんなに珍しくないのか。(本作で父親役をやっている人が主演)
しかも、あらすじだけ聞いたらどこの国の映画でもおかしくはない内容である。それどころか一見しただけではどこかも分からない無国籍ぶりになっている。
頭は非常に良いが家は裕福ではない少女が、特待生となって金持ちの子弟ばかりの進学校に入る。ここで良い成績を取れば海外留学できる資格を得られるのだ。
なんたる皮肉なことか金がなければ頭が良くて勉強がいくらできようと、学問の道には進めない。一方で、財力もあり親から「勉強して良い大学へ行け」と言われる子どもは学問にも自分の未来にも全く興味はない。
主人公は出来の悪い同級生やそのボーイフレンドに試験中に答えを教えてやり、さらに他の成績不良の生徒相手にビジネスとして逆カンニングすることになる。
そこにもう一人やはり同じく貧しい特待生の男子が登場する。
真に貧富や階級の差を背景に、持つ者と持たざる者をシビアに描いた作品である。しかも、着想やカンニング場面のハラドキ具合はサスペンスものとしてもかなりな出来だ。
ただ、この逆カンニングは最前列に座った者には使えないのではないかという疑問が頭から離れなかった。それと留学試験の監視員がまるでターミネーターみたいにコワくて思わず笑ってしまった。
その後半のカンニングのシステムはかなり大掛かりでよく考えられている。それを考えたのは友人とBFなんだけど、そんな知恵があるなら別に進学しなくても起業家としてやっていけるんじゃないの(^^?)なんて思っちゃった。
中心となる4人を演じる若い役者たちがルックスも良ければ演技も良し 特にヒロインのチュティモン・ジョンジャルーンスックジンはモデルもやってるそうで、柳のような長身。しかもキリッとしている。街を歩いていたら思わず振り返っちゃう。
それと友人役の女の子も、若い頃の薬師丸ひろ子っぽい可愛さ。作中では私、頭悪いし~とか言ってる役柄だが、こちらも勉強よりアイドル養成学校に行ってスタアを目指せ、と言いたくなるぐらいだ。
お見それしましたタイ映画(^^ゞ 世の中が不公平なのは万国共通、沈む者は永遠に沈みっぱなしで這い上がれないというのが身にしみた。
ラストの「校歌」には爆笑してしまった。
欠点は、音がデカ過ぎること。音楽や打ち込みの効果音みたいなノイズ自体はいいんだけど、ちとうるさかったですよ。あともう少し短く編集してくれればよかったんだけどねえ……。
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