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2018年12月26日 (水)

「僕の帰る場所」:ロスト・ボーイ 幻の故郷

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監督:藤元明緒
出演:カウン・ミャッ・トゥ
日本・ミャンマー2017年

若い監督の第1作目。実話に基づいて日本で難民認定申請中のミャンマー人家族を描く。夫婦と息子二人の4人家族で、そのうち母親と二人の子どもは実際の家族だという。4人とも役者としては完全に素人でそのままの役柄で起用している(劇中の名前も同じ)。

夫は民主化活動が原因で日本に亡命してきたため帰国はできず、密かに不法就労で生活費を稼ぐしかない。しかし不安定な生活ゆえ、妻の方はウツウツとして毎日を過ごすのだった。
遂に妻は夫を東京に残し、息子たちを連れてミャンマーに帰る。しおれた植物のようだった彼女は実家に戻って生き生きと蘇る。
しかし、日本語しか話せず小学校生活になじんでいた長男は反発するのだった。

ミャンマーのワイザツで活気に満ちた街は少年にとって、自分の国にもかかわらず異文化に他ならない。
実家での会話は全く理解できず、生活様式も違う。風呂はシャワーだけ、しかも水しか出ない。こりゃキツイ。どうにもできない子どもはつらいよ、大人もつらいけど。

そのような日常と変化の日々が淡々と描かれるのだった。
子どもと母の会話はとても演技とは思えない。そりゃ、実際の親子だから当然といやあ当然なんだけど……(@_@;) ドキュメンタリーと見まがう作りである。そうなると是枝監督作品を想起するだろう。

ただ、そこから一時だけ幻想の世界の門が開く。長男が雑踏で出会う謎の少年たちはモノノケかアヤカシか妖精ではないのかな。そんな風に思えた。
となると、ラストシーンで突然ファンタジーの世界へなだれ込んでいく『フロリダ・プロジェクト』も思い浮かぶ。
あの映画も主役の女優さんは半分素人のようだった。類似性に、影響を受けたのかしらんと思ったが、編集に2年半もかけたとのことで(キューブリック並み)たまたま似たらしい。日米で同じような問題が進行しているのか。
いかなる子どもであろうとそこにいる限り、国は保護する義務があるはずなのだが。

ということで、是枝作品や『フロリダ~』を好きな人にはオススメだろう。
難点は「素材」に頼り過ぎというところか。ドキュメンタリーとフィクションの境が曖昧な作品なのだからだから意図的だろうけど。
監督は現在ミャンマーに在住とのこと。実家のおじさんはタクシーをやっている設定なのは、たまたま実際に乗ったタクシーの運転手さんをそのまま起用したそうな(^O^)

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東中野のポレポレ坐は久し振りに行った。朝日新聞に二度も紹介されたのだけど、平日の昼間のせいか、観客は映画ファンより難民問題に興味を持っている人がほとんどだったようだ。
短い時間でも宣伝しようと、プロデューサーと出演者(日本人の役者さん)がアフタートークに来ていた。


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