「ジョルディ・サヴァール&エスペリオンXXI」:嵐を呼ぶガンバ
フォリアとカナリオ~旧世界と新世界
会場:浜離宮朝日ホール
2018年11月22日
前回はケルトものプログラムで来日したサヴァール、今回は16世紀スペインの宮廷で奏でられた舞曲を取り上げた。
前半と後半、カルロス5世時代とその息子フェリペ2世の時代と分けている。登場するはフォリア、パッサメッツォ、グラウンド、ファンダンゴ、カナリオなどなど。南米で採譜された曲もあるとのこと。
メンバーはサヴァールに加え、お馴染みアンドルー・ローレンス=キング、ヴィオローネのハビエル・ブエルタス--と、この3人は古楽系だが、残りの2名ハビエル・ディアス=ラトーレ(ビウエラ、ギター)とダビド・マヨラル(パーカッション)は民族音楽系なのだろうか、どっからこんな人連れてきたという感じだった。
二人ともサヴァールの方をじっと見ながら、即興でサポートしていたもよう。しかもその演奏がただモンではない。前半はラトーレ氏が中心、外見はそこら辺のオヤジさんだが弾けばスゴ腕、目にもとまらぬ指使いなのであった。
もう一人のマヨラル氏は後半に見せ場(聞かせ場)を設定、といっても派手にタイコを叩きまくるというのではない。フォリアでサヴァールのバスガンバと、カスタネットで掛け合いを演じたかと思えば、別の曲ではタイコのバチ二本をこすり合わせ(?)何やらヌルヌルとしたリズム(そう形容するしかない)を奏でたのであった。こんなの初めてでビックリだぁ~。
サヴァールも負けじとバスとトレブル2種で極限のテクニックを披露し尽くした。前半の終曲ではものすごい速いパッセージを弾きまくり、後半では超微細高音でもうこれ以上高くは出せねえ(>O<)と断言できるほどのテクニックを聞かせたのであった。
ロン毛の怪しい人といった風情のA・L・キングは、気候のせいかハープの調律にかなり手間取っていた(三分の一ぐらいの時間は調弦してた?)。彼も即興で弾きまくっていたもよう。
全体的に宮廷の音楽という先入観を覆す、野性味あふれる躍動感と洗練さの高度なハイブリッドなコンサートだった。
アンコールはケルト風の静かな曲だった。一曲だけだったが、三鷹公演では二曲やったらしい、むむむ(~_~メ)
この時期はコンサート・ラッシュで、この日もファジョーリの初台公演と重なっていた。土曜日に三鷹でもやるから、どれだけ客が来るのかと思っていたらほぼ席が埋まっていた。さすがサヴァールである。
会場でディスクがバンバン売れていて、オペラのDVD(かなりの値段)まで含めて完売していたようだ。
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