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2018年12月18日 (火)

「運命は踊る」:冥土の道にも検問あり

181217 監督:サミュエル・マオズ
出演:リオル・アシュケナージ
イスラエル・ドイツ・フランス・スイス2017年

前作「レバノン」はなかなかの衝撃作だったので、期待して行った。

三幕物みたいな構成になっている。
冒頭、兵役(イスラエル軍)に行っている息子が死亡したという通知を両親が受け取る。いきなり母親が倒れて、それ以後の場面は見てて非常に気分が悪いものだった。
通知を持ってきたのも若い軍人なのだが、ぶっ倒れてヒクヒクしている母親を勝手に寝室に引きずっていく(どうして寝室の位置が分かるの?)。夫に何も聞かずにいきなり勝手に注射を打つ(普通、アレルギーあるかとかダンナに聞くよね)。その他色々あり。

こんな乱暴なのがイスラエル軍の通常のやり口でそれを批判してるのか、それとも監督がわざとそのように描いているのか、画面を見ているだけでは判断できない。

続いて「第2幕」は時間が戻って息子の軍隊生活が舞台となる。その任務が荒野のど真ん中、一本道の検問所で通行車をチェックするだけで、退屈極まりない。
この部分は、同じく波風一つ立たない静かな戦場を描いた前作を思わせる不条理さである。ここまでダラダラと退屈な任務だと、通行者に嫌がらせするぐらいしか楽しみはない。
荒野と空、トレーラーなどの色彩の対比が美しい。

3幕目はまた家族の家に戻る。お決まりの和解劇である。正直なところ、もうこういうのは(人間関係を壊して→くっ付ける)いい加減にしてほしいと思った。グダグダした作りで眠くなってしまい、蛇足としか思えなかった。

どうせなら、面白かった2幕目だけでやってくれればよかったのに。
父親の職業は建築家という設定で、住んでるアパートが心象風景と一致しているというの点はかなりズビャギンツェフっぽかった。
ただ、父親を辛辣に描いたアニメを挿入したのは、全体からみると唐突で意味不明。結局何を描きたかったのか最後までよく分からなかった。
これがヴェネチア国際映画祭で高評価なのかと疑問に思った。

 

全くの余談だが、日本で徴兵制が行なわれない理由として「現代の兵士には専門的技術が必要だから、一般の人間じゃ役に立たない」というのを見かけたのだが、検問みたいな任務なら専門技術って要らないんじゃないの(?_?)

 

 

 

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