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2019年1月13日 (日)

モンテヴェルディ「ウリッセの帰還」:神々の長ーい時間

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北とぴあ国際音楽祭2018
指揮:寺神戸亮
演出:小野寺修二
会場:北とぴあ さくらホール
2018年11月23・25日

モンテヴェルディのオペラ、『ポッペア』や『オルフェオ』は生で過去に何回か観たがこの演目は初めてである。

セミ・ステージ方式ということで、オーケストラは舞台の上に乗っている。もっともその配置はかなり変わっていて、基本、弦と管が分かれて左右奥に不均衡に並んでいる。その間を縫うように歌手が現われて前方で歌と演技をするという次第(第2幕では配置が変わる)。一番奥にいた鍵盤担当の上尾直毅は、あまりに奥にいたので上演中姿が全く見えなかった。
簡単な装置があって、男女二人のダンサーが動かして場面を作っていた。左右の袖にモニターが舞台に向けて置いてあって何かと思ったら、前方に歌手が出てくると指揮が見えないので、寺神戸亮の方を映していたのであった。

物語はいわゆる英雄ユリシーズの話で、長い冒険の果てに故郷に戻ってくるが何やら周囲をウロウロとしてすっきり帰れない。神々が背後で関与しているとはいえ、妻は妻でしまいには名乗った夫をニセ物だと頑なに拒否る始末。これはもしかして長年の恨みと復讐なのか(?_?)
日本人としては、やはり最後には印籠を取り出して「ええい、この方を誰と心得る。ウリッセ様であるぞ」「へへーっm(__)m」(一同土下座)ぐらいやってくれんと、スッキリしないのであった。

演出は押しつけがましいところや大げさなところがなく、ちょうどいい具合だった。女神ミネルヴァが自転車乗って現れたり、求婚者たちが弓を射る場面では影を使ったりして、チョコチョコと笑わせてくれるのもよい。
それと王宮に居座る求婚者たちが完全にセクハラモードになっているのが面白かった。妻のペネローペをニヤニヤ笑いしながら卑猥な目つきでジロジロ見たり、ペタペタ触ったりもう
キ モ い っ
の一言である。

ペネーロペ役の湯川亜也子は長丁場を堂々と見事に歌い切りました ミネルヴァのクリスティーナ・ファネッリという人は初来日らしいが、若々しくて元気さを振りまく。北とぴあ常連のフルヴィオ・ベッティーニは完全にコメディ・リリーフで大いに笑わせた。
忘れてならないのは、セクハラ求婚者軍団のリーダー格を演じた小笠原美敬。キモい上に厚かましい、もうイヤ~~っ(>O<)と叫びたくなるほどの悪役振りだった。お疲れ様でした

それにしてもモンテヴェルディのオペラ他二作比べて、なんだかやたらと長さを感じさせる作りなのはどういうことか。特に第一幕が長い。最初の方で男女がイチャイチャと愛の歌を歌い交わすのが、良く呑み込めなくて、長い歌の終わりにようやくペネーロペの侍女とその恋人だと判明するのはどうなのよ。

上演が少ないのも分かるような気が……。過去には二期会が短縮版をやったらしい。今回はあえて完全版上演にこだわったとのこと。
何せ休憩2回入って4時間15分ぐらい。隣にいた夫婦は、終演予定時刻を見て第3幕見ないで帰ってしまった。

唯一の難は会場の北とぴあが完全に多目的ホール仕様で残響が少ないので、古楽向けではないこと。ムムム、無念である(T^T)
がしかし、これもすべて北区民の皆様のありがたーい税金によるものであります。文句など付けられないのである。
もう、マジに北区に足を向けて寝ていませんっ

次回はヘンデル「リナルド」とのこと。誰が演出やるかなあ。北区民の皆さん、またよろしゅうお願いしま~す(@^^)/~~~
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