「音楽と美術の幸せな結婚 3」:チェンバロの裏も金次第
大塚直哉レクチャー・コンサート・シリーズ
絵の中にとらえられた響き--ブリューゲルが描いた《聴覚》:「ブリューゲル展」の名画と音楽
会場:よみうり大手町ホール
2019年1月25
このシリーズも3回目、今回はトークのゲストは山田五郎、演奏者はオーストリア出身でリコーダーのラファエラ・ダンクザークミュラー、ガンバ西谷尚己であった。
テーマのブリューゲル展は郡山の美術館で開催されているとのこと。ブリューゲル一族の特集--といっても、一番有名なピーテル1世の絵画の出品はないそうである。
で、「長男はつらいよ」というテーマでピーテルの長男2世は画風は継いだが、出来は今一つ。却って次男のヤンの方が新たな境地を開いた、てな話で始まった。
また「一族」ということでは美術(画家)と音楽(演奏家、楽器製作者)共通で、長く続く家系で引き継がれ、先代のヒット作を真似し、ギルドに加入していた、というような共通点があるそうだ。
また、音楽を題材としたヤン2世の「聴覚の寓意」では山田五郎が遠近法や人体の描写がメチャクチャとクサしながらも、ただ細部だけはやたらとこだわりがあると述べると、大塚直哉の解説と共にこの絵の中に実際に描かれているとおぼしき縦笛を、ダンクザークミュラーに吹いてもらったのだった。
そのうちの一つはアルメニアのドゥドゥクという珍しいもの なんとアプリコットの木で作られていて、長さはソプラノリコーダーぐらいなのだが、音は結構太くて渋いのであった。
それから、チェンバロの蓋の裏側の絵は羊皮紙に書いて貼り付けた--って、知らなかったですう(!o!) で、お金持ちは有名な画家に絵を依頼し、金がない人はラテン語の格言などを書いたそうである。
な、なるほどそうだったのか……また一つ賢くなりましたヽ(^o^)丿
音楽面ではまずスウェーリンクやファン・エイクなどを演奏。大塚・西谷ご両人の独奏もあったが、やはりダンクザークミュラーのタテ笛の妙技が中心に置かれていたもよう。うまく言葉に出来ないが、何か独特の情緒がその音色に流れていた。
後半は「メランコリー」がテーマで、このメランコリーというのも「暗い」だけでなく正反対の意味もあるとのこと。こちらは英国が中心でパーセル、ダウランドの暗い所から徐々に明るい曲調(マシュー・ロック、トーマス・トレットなど)の作品へと変化していった。
話題が尽きずに最後は駆け足状態になってしまったが、盛りだくさんで今回もまたもやチケット代の元は十分に取れたのだった
この3人は10年ぐらい前にCDを出しており、会場でも販売していた。後になって買えばよかったと後悔したがもう遅い
なお、このレクチャー・コンサート・シリーズは3回で終了のはずだったが、好評につき第4回ウィーン、第5回ロンドンが追加決定。メデタイ!\(~o~)/
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