「ヴァレア・サバドゥス&コンチェルト・ケルン」:譜面台下がるも熱気は落ちず
会場:武蔵野市民文化会館
2019年2月13日
→こちらは紀尾井ホール公演のチラシです。
今人気上昇中カウンターテナーのヴァレア・サバドゥス……といっても、実は全然知りませんでした(^^ゞ なのに、何故このコンサート行く気になったかというとコンチェルト・ケルンを聞きたかったから。以前、ギエルミ・アンサンブルの公演に出て目立っていた平崎真弓がコンミスなのである。
しかも、もう一人いるコンマスが急病(インフルエンザらしい)で来日できず、彼女一人で仕切るということに。
録音でも聞いたことのない歌手がメインのコンサートに行くというのはかなりな賭けであったわけだが、今回の賭けは勝てた!
プログラムは器楽だけがダッラーバコ(←知らない作曲家)、ヘンデル、ヴィヴァルディなど。前半はまだ大人しい様子だったが、後半に至ると平崎真弓が乗ってきたきたせいか装飾音入れまくり。怒涛のような演奏となった。「調和の霊感」なんかもう押せ押せの勢いだった。
歌曲の方はヘンデルとポルポラが中心で、主役のサバドゥスは登場時から聴衆の耳目を引き寄せ、緩急自在に声を操って圧倒した。歌っている時は当然だが、声を出していない瞬間も支配しているかのようだった。まだ若いせいもあるだろうけど、会場の隅々まで押し寄せるパワーが感じられた。
もちろん客はどの曲についても拍手喝采だった。隣のカップルは「ファジョーリとはまた違う歌い方だね」などと興奮気味。近くの奥さんは友達に誘われてよく知らないまま来たらしく、始まる前は「あら、歌が結構あるのね」などとプログラム見てたのが、最後は立って拍手するに至ったのであった。
一番良かったのは、他の人の感想でも上がっていたけど、やはりカルダーラの「アベルの死」からのアリアだろう。激情を表現するような歌曲とは正反対、羊飼いが日々の暮らしを歌った静かで悲しげなものである。それをしみじみと歌い上げ、聞く者の心に沁み込んでくるよう。
コンチェルト・ケルンの演奏もまた哀愁味があってジワジワと煽ってくるという趣である。このダブルしみじみ攻撃には参りましたm(__)m
コンマス急病の穴を埋め尽くして、さらに上に山を築くくらいに平崎真弓は大活躍だったのは間違いない。
ハプニングは譜面台ずり下がり案件があった。サバドゥスが使っている譜面台が歌っている最中に段々とずり下がっていき、最後には一番下まで落ちてしまったのである(譜面使って歌うのとそうでない曲があったのだが、どういう違いか?) その前にヘンデルの「リナルド」のアリアをやった時既に、歌と競い合うように独奏するファゴットの譜面台がやはり下がり気味(上に動かない)。長身の奏者が身を折るようにして吹いていたのだった。
さらには別のヴァイオリン奏者のも壊れていたらしく、遂に交換する羽目に。もう買い替えの時期が来たのでは(^^;
アンコールは他の公演同様三曲。二曲目はなんと石川啄木の詩による「初恋」という日本歌曲だったらしいのだが、日本語には全く聞こえなかった イタリアの曲かと思った。コンチェルト・ケルンの演奏も完全バロック仕様になってたせいもあるだろう。私は元々この曲を聞いたことがないのだが、声楽やってる人には有名なのだろうか。
「京都ではもっと日本語に聞こえなかった」などと話している人がいて、やはり追っかけの人がいるのだなあと感心した。
京都公演ではサイン会やったらしいが、こちらではなかった(紀尾井公演でも同様とのこと)。やったら長蛇の列になったことだろう。
↓武蔵野公演のチラシ。なぜかコンチェルト・ケルンが大きく出ていてサバドゥスの方は小さい。
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