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2019年7月 5日 (金)

音楽と身体その4「トッド・ラングレン THE INDIVIDUALIST TOUR」:失われた情熱を求めて

190705 会場:すみだトリフォニーホール
2019年5月22日

トッドのコンサートはかなり前に3回(多分)行ったことがある。ただし、そのうち1回は中止になってしまった。当日知らずに(まだネットがない時代)仕事早退きして渋谷まで行ったら「中止」の張り紙があったとゆう……(=_=)
近年も彼は何回か来日しているが、今回のツアーは過去のヒット曲満載🎵らしいということで、久し振りに行ったのだった。

会場はクラシックやアコースティック系専用のホールだと思っていたのだが、最近はロックもやるようである。この規模のホールが老朽化などで、都心では数が少なくなっているせいだろうか。
客の男女比は65:35ぐらいか? ネットの感想で「男性がほとんど」というのを見かけたけどそれほどではない。

登場したトッドはさすがにかなり体重増という印象だったが、年齢を考えると(この時点では70歳)仕方ない。
曲は1970年代から80年代初頭の名曲でほとんど構成されていた。例外は休憩後1曲目の「インディヴィデュアリスト」とアンコールの「ウォント・オブ・ア・ネイル」だけ(大阪公演では曲目違ったらしいが)。
バックメンバーにはお馴染みのカシムや、元カーズの人(名前失念)などベテラン揃いだった。

途中でトッドが本がどうのこうのと話していたが英語よく理解できず(~_~; 後で調べたらどうも自伝を出したのでそれに合わせた選曲だということらしい。

驚いたのはスマホやカメラで撮り放題&録音し放題だったこと。客の年齢が高いからまだしも、これで若い人が多かったらもっとスマホ乱立がすごかったろう。
ボブ・ディランなんか会場で一人でもスマホ撮影してたら歌うのを止めてしまうらしいから、この差はスゴイ。

ステージの背景には当時のアルバムのジャケットやトッドのスナップ写真が映される。かくして懐かしのあの曲、この曲オンパレードで会場も盛り上がった。
私より年齢高そうなオジサンオバサンも熱狂し、英語で歓声をを上げる。

トッドの声は往年ほどの艶はなかったが、声量は変わらずに歌いまくり健在ぶりを見せて、息切れもなく動き回る。さすがにミック・ジャガーには負けるが、その次ぐらいには元気だったですよ(o^^o) 彼のギターの調子が良くなくて、ちょくちょく音が消失してたことぐらいしか問題はなかった。

しかし、どうしたことだろうか。あんなに元気なトッドなのに何かが違う……。以前聴いた時とはよく分らないがどこかノリ切れない。なんなのだろうか。
と、不意に私は思い至った。トッドに変わりがないのなら、変わったのは私の方だろう。
かつてあれほど彼のコンサートで感動し熱狂した私はもういないのである。もはや私は熱狂する身体を持ってはいないのだった。

もう私は昔のように音楽を楽しめないのか……。かくして私はガックリとして、ショボショボ(v_v)と錦糸町駅に向かい総武線に乗ったのであった。

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