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2019年10月 2日 (水)

「ドッグマン」:ホール・ロッタ・ラヴ で、飼い主はどっちだ?

191002 監督:マッテオ・ガローネ
出演:マルチェロ・フォンテ
イタリア・フランス2018年

ガローネ監督は『ゴモラ』が衝撃で、その後も『リアリティー』『五日物語』も見た。後者は映像はキレイだけど話自体はなんだかなあという印象だった。
今回の作品はどれかと言えば『ゴモラ』系ではある。

舞台となるはイタリアの田舎町。これがまた、よくぞこんな場所見つけてきたものよと言いたくなるほどの寂れ具合である。
主人公は街の商店街の一角で犬のトリミングサロンを開いていて、腕前は良いようだ。時折商店街の仲間とサッカーしたり飲んだりする。妻とは別れているようだが、小学生ぐらいの娘を溺愛していて、訪ねてくるとエラいかわいがり様だ。

一方、彼には長い付き合いの友人がいる。こいつが大男で非常に乱暴で凶悪で、犯罪も平気で犯す。小柄で優しく気弱な主人公とは対照的。彼を脅しつけては様々なことを命じる。で、主人公は常にあらゆることでその大男に追従してしまう。悪事にもだ。
しまいには男をかばって刑務所にまで入っちゃう。娘が前科者の父を持つことになるのを考えないのだろうか? ご近所から冷たい目でで見られてもいいのか(?_?)

正直、見ててこの主人公の心理や行動がよく理解できなかった。大男に引きずられるだけではなくて、わざわざ自分の方から近寄っていく。さらには仕事でやってる犬相手のように対処しようともする。出来るわけはないのに。
これは一体どういうことなのだろうか。
……と訳ワカラン状態なのであった。

しかしSNSでとある人が若い頃の回想をしているのを読んで、男性同士の友愛の一形態として「支配-服従」というものがあるのではないかと私は感じた。このような関係に互いにとどまることこそがまさに友愛の印なのである。
「男性」だけでなく女性にもあるのかも知れないが、私は現実でもフィクションでも女性については見た記憶がないからとりあえずそう考えた(家族内の関係はまた別として)。

そう考えると、この主人公の言動は分からなくもない。
彼と大男の関係は、そのまま彼と犬との関係に逆転写されている。自分が危ない状況になるのに犬を助けに行く場面は極めて示唆的だ。

これはなんと実際にあった事件を元にしているそうだ(!o!) 多分、監督なりの解釈ということなのだろう。
空虚さと小汚さのまじった町、安っぽくケバケバと浮遊してるようなクラブ、居並ぶ各種の犬たち--そんな光景の中で不条理な人間たちが不条理な行動をとるのを、顕微鏡で微細な所まで拡大する。見てて決して心地よくはならない、快作ならぬ不快作だろう。
あと私は犬がどうも苦手なので、その点でも見るのがちと苦しかった。

主演のマルチェロ・フォンテはカンヌで男優賞取っただけのことはある「小心者」演技である。
なおカンヌではパルムドッグ賞も受賞。初めて見る人はどのワンコ🐶が取ったのか当ててみましょう(^o^)b

 

ところで、監督に「8月に日本公開されますが日本の観客に一言」とインタビューしたツイートが流れてきた。監督の答えは「えっ、8月公開。イタリアじゃ8月に映画なんか誰も見ないよ」だったそうな^^;

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