「ベルリン古楽アカデミー×ソフィー・カルトホイザー」:歌心あればオーボエ心あり
ベルリン古楽アカデミーのコンサートは多分5回目。(前回の感想はこちら)
今回のコンマスはベルンハルト・フォルクという人である。武蔵野でも公演あり、完売という人気だった。
前半は器楽のみのプログラム。J・SならぬJ・B・バッハって誰(?_?)と思っちゃうが、「ヨハン・ベルハルト」でバッハ先生の又いとこだそうだ。その「管弦楽組曲」の第1番は6楽章からなる。1730年頃にコレギウム・ムジクムで演奏されたものらしい。
バッハ先生の同名タイトルの曲に比べると流麗で滑らかな聴き心地である。ただ、それ故に面白味に少し欠けるような印象だった。
続いて息子カール・フィリップ・エマヌエルの作品よりオーボエ協奏曲。独奏として前回公演でも神業で吹きまくっていたクセニア・レフラーが登場した。第1楽章での空間を埋めるような重層的な弦の躍動感に続いて、第2楽章ではレフラーのオーボエが叙情たっぷりに歌ったのだった。
後半はソプラノのソフィー・カルトホイザーも加わり、ヘンデルのソロ・カンタータ「愛の妄想」を演奏。イタリア時代の作品とのこと。
歌の内容は恋人を亡くした女の悲痛な嘆きである。それを怒濤のようにたたみ掛けて歌い上げる。まだ若い頃の曲なのに、器楽には煽り立てるようなヘンデル節が既に潜んでいるようだ。オーボエ、ヴァイオリンとの絡みも見事。
しかし、歌詞は冒頭と最後のレチだけ第三者からその女を描写している。狂的な一人称の愛情表現から終盤の三人称による描写の冷静さへと、内容に則した微妙な切り替えをカルトホイザーは巧みに表現していた。
ヘンデル先生の時代もこのように強力なソプラノが聞き手を圧倒していたのだろうな、などと考えつつ拍手したのだった。アンコールは「ジュリオ・チェーザレ」より。
彼女は古楽畑での公演や録音が多く古楽歌手と言えそうだが、もっと後の時代のオペラでも十分通用しそうなタイプの歌唱だと思えた。
コンサート自体は良かったのだが、参ったのは隣の女性が最初から最後まで口に指突っ込んで歯に挟まった食べカスを取ろうとして(多分)、ずっとクチャヌチャ音を立ててたこと。
全ての音符と音符の合間、カルトホイザーの声と重なって、それが聞こえてくる。照明も割と明るめなので何してるか丸見えだったのだ。
気になってしまってかなり消耗した(-_-;)
休憩時間中は隣の印刷博物館でやってる「現代日本のパッケージ2019」というのが入場無料なので覗いてきた。デザイン大賞を取ったのはソニーのアイボのパッケージだった。
全体的には今は「和もの」が流行っているんだなあ、と。
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