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2019年11月24日 (日)

映画落ち穂拾い 2019年前半その3

191124a「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」
監督:フレデリック・ワイズマン
米国2016年

これもまた、最初見た時にはロングランヒットになるとは予想も付かなかったドキュメンタリー。
205分、さすがに長かった! まあワイズマンは長いのが芸風だからなー。年齢も89歳だというからその分ビヨ~ンと伸びた感じ(過去にもっと長い作品があるけど)。
通常の図書館仕事はあえて省いて、対外サービスや文化イベントに絞って取り上げている。それと館長とスタッフによる予算獲得対策会議。

税金+寄付で成り立つ公共図書館を通して、米国の一地域の様々な「知」の在り方を示して見せたようにも思えた。だから講演やトークの内容に長く時間を割いているのかな、と推測。
でも本がピョンと宙を飛んでスポッとコンテナに入る仕組みとか、その本がどこへ行くのかということも見たかった。

エルヴィス・コステロやパティ・スミスが出てくるとは知らなかった。あと一番最後に「キース・ジャレットからパーセルまで」と紹介されたのは誰?(パンフ買わなかったので不明) エドマンド・ドゥ・ヴァールという人か(?_?) でも音楽じゃなくて美術評論家なんだよね。
木管楽器4本のコンサートは聴衆の盛り下がり度がかなりのもんだった。


191124b「アベンジャーズ/エンドゲーム」(字幕版)
監督:アンソニー&ジョー・ルッソ
出演:アベンジャーズの皆さん
米国2019年

今更ながらではあるが一応感想書いておく。
最初見た時は感動して涙ぐみ、二度目見た時は結末が分かっていたので余計に泣けた。
……のではあるが、どうにも納得できない点が段々と気になってくる。タイムパラドックスに手を出したのはやはりマズかったのではないか。
この手の話はどうしたってほころびが出てくるのである。
とはいえ代わりに新たな展開をやり放題となり、ドル箱シリーズは永遠に継続可能ということにもなる。

アントマンはもう少し持ち上げてやってもバチは当たらないと思う。あと、ガレージの中にいたネズミもだ。あのネズ公がいなければ何も起こらなかったはず。

今年の埼玉でのSF大会に行ったら「エンドゲームが終わらない!」という分科会があった。全シリーズネタバレ御免で、展開や結末の不自然な部分の代替案を語り合う内容である。やはり不満に思っている人はいるらしい。
あげられた矛盾点になるほどと思い、出された代替案の方にスッキリ感じた。

全シリーズで最初に見ようと思ったのは『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』であった。あれから5年……(遠いまなざし👀) ズルズルと芋づる式に見てしまい、シリーズで見ていないのは1作だけ(どの作品かはヒミツ)となってしまった。こんなはずじゃなかったのに~。
おかげですっかりMCU脳になってしまい、「スターリン主義」を「スタン・リー主義」に空目するという羽目に(´。`)トホホ


191124c「コレット」
監督:ウォッシュ・ウェストモアランド
出演:キーラ・ナイトレイ
イギリス・米国2018年

フランスの女性作家コレットの半生を描く作品。期待しすぎたせいか今イチだった。
辛口のキリリと冷えた白ワインか、毒々しい色合いの強烈なカクテルが出てくるかと思ったら、やや甘のぬるいロゼが出てきたような。
レズビアンや異性装者が登場するものの、パリの爛熟した文化よりも、年の差夫婦の諍いの描写が中心となっている。

あくまでも家庭内争議風に展開である。年下の田舎娘だった妻であるコレットや知人に小説書かせて自分の名前で出して、ちゃっかり人気を得て大金稼ぐ夫はクズ男として描かれている。主人公が最後に啖呵を切る場面に胸がすく思いになったのは確か。
チラシに「ココ・シャネルに愛され、オードリー・ヘプバーンを見出した」とあるが、その時代までは描かれてない。
キーラ・ナイトレイは◎、脚本は△といったところか。

昔の家庭で女が園芸や家の手入れを懸命にするのは、他に自分で自由に出来るものがなかったからだろうか。私の母もネコの額ほどの庭の植木を一人でひたすら手入れしていたが、結果はあまりはかばかしくなかったものだ。


191124d「希望の灯り」
監督:トーマス・ステューバー
出演:フランツ・ロゴフスキ
ドイツ2018年

場面により異なる色調が素晴らしかった。黄色みを帯びた巨大スーパー、青く沈む戸外、闇にヘッドライト行き交うアウトバーン……。
歴史に翻弄された旧東独を背景に、スーパーで働く人物それぞれの在り方が迫ってくる。孤独な男を演じるフランツ・ロゴフスキはまさにハマリ役である。(ただ風呂を覗くのはカンベンしてくれ~)

フォークリフトは人生の象徴か。振り返ってみるとブルーノは最初から心を決めていたようだ。
ただ、途中で中だるみを感じる所あり。観る人によってどのあたりかは異なるようだが。私はちょうど中間あたりだった。三部構成はあまり効果がないと思えた。
最近の映画には珍しいタバコの煙モクモクであったよ!
『2001』っぽい「青きドナウ」の使い方に笑った。こちらはフォークリフトだけど……。

なお、ストーリー上終盤にならないと明らかにならない事案を予告でネタバレしちゃってるのはどういうことよ。知らないで見ていたら衝撃の展開になったろうに💢ムカー

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