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2019年12月

2019年12月 7日 (土)

「エマ・カークビー ソプラノ・リサイタル」:降りるは簡単、上るは苦難、ステージへの道

191207 北とぴあ国際音楽祭2019
会場:北とぴあ さくらホール
2019年11月7日

今年も来ました恒例の北とぴあ。北区民のありがた~い税金による音楽祭であります。
この音楽祭とエマといえば数年前の『妖精の女王』が思い出される。今年はオペラの参加はなくて単独コンサートだ。

前半はつのだたかしのリュート共に英国ルネサンス歌曲。後半は寺神戸亮率いるアンサンブル(総勢9人)との共演でバロック名曲選、という盛りだくさんな超お得プログラムだった。

ルネサンスものの方はダウランド中心で、他にキャンピオン、J・ダニエルも。会場は多目的で1300人収容という広さで、この手の音楽には向いていない。でも、か弱そうなエマの声は驚くほど鮮明に大きく届いた。歳は取ってもやっぱりエマ✨であった
ただ、さすがにリュートの音については苦しいものがあった。

バロックの方はヘンデルの信奉者だったというW・ヘイズの声楽曲で開始。歌詞の中に登場するホルンが実際に加わって演奏した。
英国ものなら定番パーセルの後は、なぜかその後バッハ。やはりバッハを入れないとダメなのかしらん。
しかし、事前のチラシでは最後の演奏が「コーヒー・カンタータ」からになっていたのを変更して、「やはり今年のオペラはヘンデルなんで」ということで結局ヘンデルに差し替えられたとのこと。
ということで、バッハはロ短調ミサからの1曲だけで、ヘンデルが「メサイア」と「アルチェステ」からとなったのだった。

エマの歌唱はパーセルやバッハよりもヘンデルの方が冴え渡っていて、この変更は吉と出たのである。
器楽曲ではバッハの「オルガン小曲集」をアンサンブル用に編曲したのがよかった。対位法の心地よさが満ちあふれるように感じられる~(^^)~

アンコールは「結婚カンタータ」より。
カーテンコールでエマと寺神戸亮が手を目の上にかざしてしきりに客席を見ている。何かと思ったら前半のつのだたかしが客席にいるはずなので、探していたらしい。
そして、手招きされてつのだ氏が客席から立ち上がり、ステージ上へ……行くはずが、なんと客席のフロアから壇上へと上がる階段がないのだった(!o!) かくしてステージの下にいるまま彼は会釈するという羽目に。
階段ないのは、興奮して上ってくる客を防止するためでしょうかね⚡

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2019年12月 4日 (水)

「僕たちは希望という名の列車に乗った」:人生片道切符

191204 監督:ラース・クラウメ
出演:レオナルド・シャイヒャー
ドイツ2018年

ベルリンの壁ができる前、東独の学校で起こった事件。ハンガリー動乱によって市民が犠牲になったのに対し、教室で授業時に黙祷したのが大事になる。
恐らく高校生たちがあまり深く考えずにノリで始めたことと思うが、当時の東独は日本と同様に敗戦国で占領中。ソ連がらみの事案なので許される事ではない。政府から首謀者を出せと迫られて、友情にも家族にも亀裂が入る。
血気盛んな若者たちと、ワケありの過去を背負って生気を失った影のような親世代の対比が痛々しい。

教室で「多数決」って久し振りに聞いた気がする。同時に、呪文のようでもあるな。正義の呪文。
終盤の感動的なシーンは某名作史劇映画を想起させるものだったけど、この部分も実話なのだろうか。

邦題はネタバレしてる割には、実は何も言ってないのと同じじゃないのかね。原題は「沈黙する教室」で「飛ぶ教室」をもじったって本当か?

男子生徒役の若い役者たちの顔力(かおぢから)が強かった!
特にクルト役の子がブラピとディカプリオ足して二で割ってさらに濃くしたような顔立ちであった。

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2019年12月 2日 (月)

「模倣か独創か パーセルとイタリアのマエストロたちのトリオ・ソナタ」:ソナタ・ワールドカップ英×伊は勝負より融合

191202 演奏:レザミ・ドゥ・バルバスト
会場:近江楽堂
2019年11月2日

ヴァイオリン天野寿彦、コリーヌ・オルモンド、チェロ山本徹、チェンバロ辛川太一という4人で、パーセルのソナタを中心として英国バロックの変遷を聞くコンサートである。
C・オルモンドはフランス出身。バルバストという土地で開かれた古楽講習会で天野・山本と知り合い、アンサンブルを組んだという。今回は10年ぶりらしい。

パーセルというと声楽曲系がよく演奏されるけど、実際には器楽曲も多い。30代半ばで亡くなったのによくこれだけ多岐に渡る作品を残したと感心する。長生きしていればどれだけ名作を生み出していたかと思う。

プログラムは前半がパーセルに影響を与えたとおぼしきローズ、M・ロックにウィリアム・ヤングと、パーセルのソナタを交互に演奏した。
英国では「ソナタ」という言葉はなかなか定着せず、「ファンタジー」「組曲」「エール」などと呼んでいたそうな。ヤングという人は初めて曲集に「ソナタ」を使ったらしい。

後半は「イタリア趣味の音楽の台頭とパーセルのトリオ・ソナタへの影響」でマッティス、カッツァーティ、コレッリ、ヴィターリの作品が登場。
ジェームズ2世がイタリア貴族のメアリーと結婚したため、イタリア人音楽家たちがロンドンへ向かい人気を博したそうである。
パーセルは初めて「ソナタ」としてイタリア風トリオ・ソナタ集を出したとのことだ。これらを交互に演奏していくことで、類似点や影響を探っていく。

このように意欲的なテーマの下の凝ったプログラムだったけど、演奏は決して古びた音楽ではなく躍動的かつホットなものだった。
しかし内容が地味なせいか空席が目立った。(ほとんど身内だった?) 聞き応えたっぷりで充実してたのに~、残念。

4人目のメンバー辛川氏はまだ20代半ば?、J・ロンドーよりもっと若い。先輩方を引き立ててそつのない演奏。将来有望ですね、オバサン応援しちゃう(@^^)/~~~


ところで、近くにいた外国人男性が頻繁にスマホを取り出して(ほとんど楽章ごとに)何かをチェックしているので、なんなんだ💢これは!と思ったけど、後から考えるとラグビー・ワールドカップ決勝の経過を確認していたらしい。
「どっちが勝ったんですか?」って聞けばよかったかしらん。

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